連載

激動の世界を読む

混迷を深める世界情勢のなかで、とるべき針路は――。日本を代表する国際政治学者が交代で論じます。

連載一覧

激動の世界を読む

ジャパン・ファーストの懸念 不利益招く自己中心性=政策研究大学院大学長・田中明彦

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
南スーダン・ジュバ市内の避難民キャンプ。自衛隊の撤収は決まったが、混乱が収まったわけではない=2016年12月、小泉大士撮影
南スーダン・ジュバ市内の避難民キャンプ。自衛隊の撤収は決まったが、混乱が収まったわけではない=2016年12月、小泉大士撮影

 トランプ米大統領が「アメリカ・ファースト」と言い始めてから、何とかファーストという言葉がよく使われるようになった。一国の指導者が自分の国のことを第一に考えるという意味であれば、当然のことである。アメリカのこれまでの大統領で「アメリカ・ファースト」でなかった人などいないであろう。

 トランプ氏のこの言葉が心配されるのは、彼の他の発言からみて、アメリカさえ良くなればいい、他国はどうなってもいいという強い自己中心性があるのではないかと懸念されること、そして、さらには、彼の言う政策が本当にアメリカのためになるのかわからない、かえって逆効果になるのではないかという懸念があるからである。

 自己中心的であっても、それが本当にアメリカの利益になるのであれば、心配するのは外国だけかもしれない。しかし、アメリカ人の多くが心配しているのは、そのような自己中心的な言動は、めぐりめぐってアメリカの不利益になるかもしれないと考えているからだし、場合によって、アメリカのためになると彼が主張している政策が事実誤認や誤った分析に基づいており、端的にアメリカのためにならない可能性が高いからなのである。

この記事は有料記事です。

残り2372文字(全文2862文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集