伝統守る日本酒蔵元
県内に20カ所以上あるビールや発泡酒の醸造所。そのうちの2カ所は日本酒の蔵元だ。蔵元がなぜビール造りを始めたのか。その背景には、伝統ある蔵を存続させるための経営戦略がある。
湘南に残された最後の蔵元として知られる茅ケ崎市香川の「熊澤酒造」が「湘南ビール」の醸造を始めたのは1996年、大手を除く小規模醸造所としては県内で最初にビールの醸造免許を取得した。日本酒は外気が冷たい冬に醸造し、その技術や設備を年間を通じて生かすため、夏には焼酎を造るのが一般的だった。そこに94年の酒税法改正でビール造りの規制が緩和され、培った醸造技術を生かして小規模ながらも個性的なクラフトビールを造る蔵が出始めた。
1872年創業の熊澤酒造もその一つだ。6代目蔵元の熊澤茂吉(本名・信也)社長(48)は「湘南で唯一…
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