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余録

トリノ五輪をひかえた2005年の女子フィギュアスケート陣には…

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 トリノ五輪をひかえた2005年の女子フィギュアスケート陣には有力選手がひしめいていた。荒川静香(あらかわしずか)、村主章枝(すぐりふみえ)、安藤美姫(あんどうみき)、中野友加里(なかのゆかり)、恩田美栄(おんだよしえ)の各選手……その6番目の末妹のような浅田真央(あさだまお)選手だった▲当時15歳の浅田選手はグランプリファイナルで日本人2人目の優勝をとげ、一気に五輪出場への期待が高まる。だが五輪の年齢制限にはあと3カ月足りなかったのだ。この一件を割り切れない思いと共に覚えておいでの方は多かろう▲当時の小欄は人魚の6人姉妹の末妹が15歳になって初めて海上の世界を見るアンデルセンの「人魚姫」を引き、ルールの無情を嘆いた。以来わが子、わが妹を見守るように浅田選手の成長から目を離せなくなった大方の日本人だった▲世界のトップ選手として女子には至難のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑み続けたその後の浅田選手の10年余である。その氷上の演技を同時代の記憶として胸に刻む人々にとっては今も末妹のような「真央ちゃん」である▲3度の世界選手権優勝をはじめ栄光の記録はむろん忘れられない。しかし、思い起こして今も心震えるのはバンクーバー五輪の金妍児(キムヨナ)選手との対決での悔しい銀メダル、順位は6位に終わったソチ五輪でのフリーの圧巻の演技である。勝利は尊いが最上とは限らない▲ブログで引退表明した浅田選手はきょう記者会見する。アスリートとして挑んだ運命、そして人々に愛される運命をまっとうして決意した新たな出発を心から祝いたい。

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