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本屋大賞

恩田陸さん「蜜蜂と遠雷」 直木賞とダブル受賞

「蜜蜂と遠雷」が本屋大賞に選ばれ、笑顔を見せる恩田陸さん=東京都港区で2017年4月11日午後7時32分、佐々木順一撮影

 2017年本屋大賞(同賞実行委員会主催)に恩田陸さんの長編小説「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)が決まったと11日、発表された。すでに恩田さんは同作で、今年1月に発表された直木賞を受賞。さらに本屋大賞は第2回、05年の「夜のピクニック」に次ぐ2度目となり、二重のダブル受賞というかつてない結果となった。同賞は04年、直木賞に対するアンチテーゼとしてスタートしただけに、エポックメーキングな受賞といえる。

 第6回翻訳小説部門1位にはトーン・テレヘンさん著、長山さきさん訳「ハリネズミの願い」(新潮社)が選ばれた。

 受賞の報を受けた恩田さんは、「盆と正月が一緒に来たとはこういうことか」と喜んだ。この日は自身が選考委員を務める吉川英治文学新人賞の贈呈式があり、そこで選考のあいさつを述べてから駆けつけた。えとが一巡りし再び手にしたことを「12年の間に本屋大賞が立派になって、改めて皆さんの熱気を感じる。前回もらって頑張ってきたのは、間違っていなかったのだと思います。本屋大賞は私の誇りです」と話す。

 受賞作はピアノコンクールを舞台にした長編小説。「以前から音楽小説を書きたいと思っていたが、書き始めると大変だった。読者の頭の中に音楽を鳴らしたいと思い、それを表現するのに毎回限界に挑戦していた。今となっては、音楽と小説は相性がいいと思う。頭の中に音楽を鳴らせたのではないか」。ホラー、ファンタジー、SFと多彩な作風。「さらに芸域を広げて、いろいろな面白さを追求していきたい」と抱負を語った。大のビール党の恩田さんには、「ビール一生分」などの副賞が贈られた。

 本屋大賞は04年、書店員が一番売りたい本を投票で選ぶ賞として創設され、14回目を迎えた。リリー・フランキーさんの「東京タワー」(06年)、伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」(08年)など受賞作は映像化もされて大ヒットした。

 「打倒 直木賞」として始まり、今回、同賞と同じ作品が選ばれたことで独自性を疑問視する声もあるが、実行委員会の浜本茂理事長は「当初の想定より売れる賞に育ち、アンチテーゼが薄れてきた。直木賞と並び立つ賞になったと思う」と語る。さらに発表に当たっては、「14回を迎えた本屋大賞が新たな一歩を踏み出すのにふさわしい受賞作」と胸を張った。14年の時間が責任と誇りを育み、変容をもたらしたといえる。

 しかし、直木賞を取らない本を選ぶ意味も失われていない。小説の面白さとは幅広いもの。既存の文学賞は作家が選考するが、それとは違う価値観にも意味がある。当初目的と変容の間で揺れる本屋大賞の航路は、難しいが注目されるところだ。【内藤麻里子】

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