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高齢化で変わるニーズ 8割が行方不明捜し 群馬

犬の鼻は人間の1億倍まで感知できるとされる=群馬県警提供

 逃げた犯人の臭いを追え--。刑事ドラマなどで登場する警察犬の出番といえば、そんなイメージが強いが、人間の1億倍の嗅覚を持つともいわれるその”鼻”は今、別の場面で活躍することが増えている。それが行方不明者の捜索だ。【杉直樹】

 群馬県警によると、昨年、行方不明者を捜すために警察犬が出動した回数は計316回で、10年前の約2倍。ほぼ毎日1回のペースだ。しかし、予算面などから警察犬の頭数はあまり変わっていないため、捜査関係者からは負担増を懸念する声も出ている。

 昨年3月、前橋市内で認知症の70代女性の行方が分からなくなった。事故に巻き込まれる恐れがあるとして、鑑識課に警察犬の出動要請があった。シェパード犬に女性の靴のにおいをたどらせた結果、数時間後、女性は無事に保護された。

 県警によると、警察犬の出動回数は昨年1年間で384回。そのうち行方不明者捜索は316回と約8割を占める。2007年は年間159回だったが、10年に300回を突破して以降、高止まりの状態が続いている。

 背景には、認知症による徘徊(はいかい)高齢者の増加があるとみられる。県警は、行方不明者の捜索には積極的に警察犬の出動を要請するよう捜査員に呼びかけている。捜査関係者は「今後も高齢の認知症患者が増えると見込まれ、出動件数がさらに増えるかもしれない」と話す。

 ただ、課題もある。予算や飼育員の数が限られるため、警察犬の数はこの10年、20頭前後とあまり変わらず、1頭あたりの出動回数が増えているのだ。

 警察犬には、警察が自ら飼育する「直轄犬」と、普段は民間で飼われ、要請に応じて出動する「嘱託犬」の2種類がいる。

 群馬県警の場合、現在、直轄犬2頭、嘱託犬20頭。出動回数のうち2割が嘱託犬に頼っているが、出動の謝金は一回当たり数千円。約40年にわたって警察犬を訓練している「群馬ドッグセンター」(太田市大原町)の須永武博代表は「『社会のため』という思いでやっているのでお金がどうこうではない」と強調するが、現実は厳しい。

 「一人前」の警察犬に養成するには、手間ひまがかかる。最低でも4~6カ月は命令に従うための基礎訓練が必要で、その後、足跡を追うなどの高等技術を教える。合格水準に達するには少なくとも1年以上はかかるという。警察犬になった後も餌代、訓練費、予防注射代などがかかる。「それを考えれば、実情はボランティア」(須永さん)。近年、金銭的負担などから新たに嘱託犬の審査を受けようという人が減少傾向にあるという。

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