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熊本地震 活断層保存を

 熊本地震で地表に出現した活断層を保存する取り組みが各地で始まっている。最大震度7を2回観測した熊本県益城(ましき)町では断層を防災教育に活用する計画が進む。同県南阿蘇村の断層も保存される見通しだ。過去の地震の断層も記憶の継承や地域振興に役立てられており、専門家は「地震を示す直接的な証拠として、後世に伝える意義がある」と話している。

     ●防災教育に生かす

     益城町杉堂の山のふもとにある潮井(しおい)神社の境内に地震後、長さ約4メートルにわたって地表が約70センチ隆起しているのが見つかった。わき水で知られる周辺は山肌が崩れ、神社も石段が崩れるなどの大きな被害を受けた。

     町教委は防災教育に生かそうと、この断層に加え、同町福原の民家宅地に出現した長さ約40メートル、隆起した高さ約70センチの断層を昨年6月、町文化財に指定した。町教委の担当者は「断層のスケールを肌で感じてもらい、地震の記憶の継承に役立てたい」と話している。今後、具体的な保存方法を検討し、国の天然記念物の指定を目指す方針だ。

     東海大阿蘇キャンパス(南阿蘇村)の講義棟の下に現れた断層についても、同県の蒲島郁夫知事が3月の県議会で「断層が新たなジオサイト(見どころ)として南阿蘇再生の拠点となるよう取り組む」と述べ、保存する意向を表明した。

     ●学会も後押し

     日本活断層学会(会長・熊木洋太専修大教授)が熊本県や益城町などに提出した要望書も、断層保存を後押しした。学会は「地震の性質、災害との関連を知るための証拠として科学的にも極めて貴重」と最初の要望書を昨年5月に県に提出。8月に同町に提出した要望書では、町教委が文化財に指定した二つの断層に加え、同町の麦畑にある断層の保存も求めている。

     特に同町福原の断層について、同学会の鈴木康弘・名古屋大教授(変動地形学)は「右ずれと左ずれが同じ敷地に現れるという学術的に極めて珍しい現象が起きた」と話す。さらに鈴木教授は熊本地震で出現した断層について「約30キロにわたって地表に現れるのは珍しく、1930年の北伊豆地震の丹那断層以来で、86年ぶりの規模」としている。

     ●過去の地震でも

     過去の地震の断層も保存され、役立てられている。1891年の濃尾地震で生じた「根尾谷断層」(岐阜県本巣市)は1927年に国の天然記念物、52年に特別天然記念物に指定された。同地震100年記念行事として整備された「地下観察館」では、約6メートルの地層のずれを見学することができる。

     兵庫・淡路島の北淡震災記念公園では、95年の阪神大震災で現れた「野島断層」を保存している。断層は98年に国の天然記念物に指定され、縦に最大1・3メートルずれた断層を同年にオープンした保存館で展示している。保存館の入場者は今年3月時点で計約890万人に達した。

     担当者は断層保存の意義について、「断層の実物を見てもらうことで災害に備える意識を持ってもらえる」と話す。【山下俊輔】

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