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著者のことば 多和田葉子さん

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多和田葉子さん=鶴谷真撮影
多和田葉子さん=鶴谷真撮影

 ■百年の散歩 多和田葉子(たわだ・ようこ)さん 新潮社・1836円

不穏な歴史、時空超え

 「目的地に着いてしまうのではなく、道に迷えばアートになる。私もメモ帳を持って外出し、見えるもの聞こえるものを全て記述する実験をして書いたのがこの小説です」。そう語る著者は、日本語とドイツ語で小説を書くベルリン在住の作家だ。「カール・マルクス通り」「リヒャルト・ワーグナー通り」など、ベルリンの10の通りをさまよう「わたし」は「あの人」を捜している。とはいえ叙情には流れない。

 「あの人」にはなかなか会えない。最終盤では決別が示唆されているようだ。「ストーリーはオープン、と言うのも変ですが、読者にお任せしています」。物語の筋はかすんでいる。ピントが合うのは「わたし」が歩き回って目にする人や物。それらは互いに脈絡はなく、「わたし」自身に関係もないはずだが……。

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