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学芸員怒り心頭「現場知らない」

衆院本会議で学芸員に対する自らの発言について陳謝して頭を下げる山本幸三地方創生担当相=国会内で2017年4月18日、川田雅浩撮影

 「一番のがんは文化学芸員」という山本幸三地方創生担当相の発言が波紋を広げている。山本氏は「適切ではなかった」と撤回したが、歴史や文化を次世代に伝える役割を担う学芸員から憤りの声が上がっている。

 問題の発言は山本氏が16日、大津市で訪日外国人の誘致に関し、学芸員について「観光マインドが全くなく、一掃しないとだめだ」と話したもの。世界遺産の二条城(京都市中京区)も「過去、全く英語の案内表記がなかった」と断定的に語った。

 ただ、二条城を管理する元離宮二条城事務所の北村信幸所長によると、英語の看板やパンフレットは以前から備えていた。山本氏は18日の記者会見で英語表記に関し、「海外の人に分かるようになっていないし説明もなかった。それではおかしいと変わってきた」と述べ、16日の発言の誤りを認めた。

 また、二条城について「国宝、重要文化財(重文)では昨年まで水も火も使えなかった。法律では禁止されていないのに、学芸員の判断で一切だめだった」と語った。北村氏は「これまでも重文指定エリアで水を使って生け花を展示したことがある」としており、根拠は不明だ。

 「文化財を地域資源として活用するため、学芸員にもいっそう観光マインドを持ってもらいたいという思いで発言した」。山本氏は19日の衆院地方創生特別委員会で釈明したが、実態は少し違う。博物館では地域おこしや観光誘致を目的に学芸員がイベント企画に追われている。文部科学省によると2014年度に全国の博物館などが開いた事業数は約11万7200件で、10年前より7割増えた。

 一方、全国の博物館などで働く学芸員数は15年度は約7800人で、10年前より2割増えたに過ぎない。日本博物館協会の半田昌之専務理事は「十分な予算や人員もないなかで学芸員は資料の価値を世間に伝えようと知恵を絞っている。山本氏はぜひ学芸員の現状を把握してもらいたい」と語った。

 静岡市美術館の田中豊稲(とよね)館長も「『文化学芸員』という言葉は聞いたことがない。現場をご存じないのだろう」と疑問を投げかけた。

 学芸員の研究や収集資料は、歴史を継承するため地域や世界に還元される。山梨県立博物館の森原明広学芸課長は「文化財保護は開発や観光行政との微妙なバランスで成り立っている。山本氏の発言は『予算の無駄』といった文化財行政への偏見を助長しかねない」と懸念を示した。【佐藤丈一、岸達也】

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