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特定秘密の指定審査 存在せぬ情報が機密とは

 「何が秘密なのかも秘密になるのでは」という特定秘密保護法成立時の懸念を地でいくような運用だ。

     秘密指定の妥当性をチェックする衆院の情報監視審査会が、年次報告を公表した。2015年末時点で443件ある特定秘密の4割弱で、該当する行政文書がなかったという。

     その中には、文書化されていない担当職員の知識を特定秘密に指定したり、「竹島問題に関する情報」などとあらかじめテーマを決めて指定したが、結局情報を得られなかったりしたケースがあると報告された。

     特に、防衛省や公安調査庁が、職員の頭の中にあるとする知識を特定秘密に指定していたことには驚く。全く検証不可能で、指定の妥当性を第三者が判断することはできない。

     審査会は暫定的なケース以外ではこのような指定を行わないよう求めたが、当然だろう。文書になっていない特定秘密は、指定に当たって速やかに文書にして残すべきだ。

     事前に特定秘密に指定しておく「あらかじめ指定」も問題だ。

     特定秘密保護法は、安全保障上重要な国の情報を一定期間、特定秘密に指定できる法律だ。民主主義の基盤である国民の「知る権利」が制約を受ける副作用は大きい。それだけに指定に当たって恣意(しい)的な運用は許されず、厳格さが求められる。

     だが、見込みだけでの指定は機械的に行われ、チェックが甘くなる恐れがある。審査会も、特定秘密の対象が際限なく広がらないようにする保護法の基本原理から外れた運用だと指摘した。政府は根本的に姿勢を改めなければならない。

     特定秘密を記録した文書の廃棄を準備している省庁があるという。いったん廃棄されれば、事後の検証は困難になる。公文書を保存することの重要性を行政機関は十分に認識しているのだろうか。

     09年の公文書管理法制定時、国会は付帯決議で、原則として何でも文書に残す文書主義の徹底を行政機関に求めた。その理念があまりに軽んじられている。

     審査会が今回、一定の是正を政府に突きつけた点は評価できる。だが、より強い措置である国会法に基づく改善勧告までは踏み出さなかった。政府の是正状況に目を光らせ、さらに厳しく対応すべきだ。

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