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池澤夏樹・評 『無常の使い』=石牟礼道子・著

 (藤原書店・1944円)

生きとし生けるもの すべてへの愛

 長い小説ならば要約もできるけれども、短いものを集めて、その一つ一つが気持ちの籠もった文章で、そこに語られるのが魂の真実となると、引用だけで書評を組み立てたくなる。

 これは追悼文集である。

 まずはタイトルのこと。

 「五〇年くらい前までわたしの村では、人が死ぬと『無常の使い』というものに立ってもらった。必ず二人組で、衣服を改め、死者の縁者の家へ歩いて行ったものである」と一行目を読んで、この「無常の使い」に引き込まれる。

 たしかに諸行は無常、死は時を定めず誰のもとにも訪れる。故人に縁(ゆかり)の人々は集(つど)って葬儀…

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