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選挙ではさまざまな分野の政策を抱き合わせた政見をもつ候補者間で得票数が争われる。だが数理的には、すべての争点で少数派の支持しか集められない政見の候補者が最多得票を集めることがありうるという▲ロシアの政治学者の名から「オストロゴルスキーの逆説」と呼ばれる事態である。有権者がいくつかの政策を掲げる代表を選ぶ場合と、個々の政策を直接選ぶ場合とでは結果が反対になることがある▲その逆説があまり問題にならないのは、一貫した政治理念で政策を構成する政党が有権者の選択の指標になっているからだろう。だが経済や社会の地殻変動で、有権者の選択の受け皿となってきた政党が信頼を失ったらどうなるのか▲欧州連合(EU)との協調を唱える独立系のマクロン氏と、反EUや反移民を掲げる極右政党のルペン氏との間の決選投票となった仏大統領選である。長年、政権交代をくり返した保革2大政党の候補者は舞台から退場してしまった▲決選投票ではEUや移民をめぐる争点が勝敗を分けることになる。結果、2大政党の支持も取り込むマクロン氏が優位といわれる。共に反EUの極右と急進左派との決選が取りざたされていたのを思えば、ホッとした向きも多かろう▲ただし人々の不満を二者択一の争点に落とし込んで予想外の風を起こす今日のポピュリズム(大衆迎合主義)政治である。従来の政党政治への破壊力は米国や英国でも見たばかりだ。仏国民の大統領選での最終選択は来月7日に示される。
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