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囲碁AI トップ棋士超え=最上聡(東京学芸部)

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囲碁AI「DeepZenGo」と対局する本因坊文裕(右)=大阪市で3月23日、森園道子撮影
囲碁AI「DeepZenGo」と対局する本因坊文裕(右)=大阪市で3月23日、森園道子撮影

特性理解し共存へ

 驚きのないことに、驚くべきかもしれない。囲碁の日中韓のトップ棋士と人工知能(AI)が総当たりで競った先月下旬の大会で、日本の圧倒的王者、本因坊文裕(井山裕太九段)が国産囲碁AI、DeepZenGoに敗れた。この結果は囲碁、AIを知る人ほど、「意外でもない」と受け止めている。

 約1年前、米グーグル傘下の英ディープマインド社が開発したAI、アルファ碁が韓国の世界トップ級棋士を破り話題をさらった。その対局前にタイムスリップし、「1年後には、今最強のアルファ碁とは別のAIが井山さんに勝つ」と吹聴しても、誰も信じないだろう。Zenはそのころ、先に石を三つ置くハンディをもらい、ようやくプロと勝負できる実力だった。囲碁ソフト同士で競った「UEC杯コンピュータ囲碁大会」の実行委員長、電気通信大の伊藤毅志助教は「それまで新技術の開発があっても、コンピューターの囲碁の実力向上は壁に当たっていた」と語る。

 そんな「アマチュアとしては強い」打ち手が、昨年11月に二十五世本因坊治勲(趙治勲九段)から1勝を挙げ、今春には井山のみならず、中韓のトップ棋士にも勝利寸前まで行った。囲碁は互いの陣地の広さを競うゲーム。調整不足から、終盤戦に弱さも見せたZenだが、将来陣地になりそうなところを巧みに予測し、実際に陣地にまとめるのが囲碁AIの強さだ。Zenの開発チームの代表、加藤英樹さんが「短期間でこんなに強くなる…

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