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辺野古の埋め立て始まる 「対立の海」にしたいのか

 後戻りできない隘路(あいろ)に迷い込むことにならないか。

     沖縄県名護市辺野古の海を埋め立てる護岸工事が始まった。埋め立て海域を囲う外枠が大量の石材で造られる。政府は今年度中にも護岸を完成させ、その内側への土砂投入を始める方針だ。埋め立て面積は約160ヘクタールに及び、工事が進めば元の環境に戻すのは難しくなる。

     菅義偉官房長官は「多くの人々が望んできた普天間飛行場の全面返還を実現する確かな一歩だ」と述べた。

     だが、普天間返還を望む人々が同時に県内移設を望んでいるわけではない。片面だけを強調するのは適当ではない。

     日米両政府が米軍普天間飛行場の返還に合意した1996年4月から21年がたつ。これまで長い歳月を費やしてきたのは、ひとえに地元の理解を得るためではなかったのか。

     沖縄では今年に入って1月の宮古島、2月の浦添、今月23日のうるまと、安倍政権が支援する候補と翁長雄志知事系の候補が戦う市長選が続き、いずれも政権側が制している。

     現在、県内11市のうち9市長は政権側とされ、翁長氏側は普天間移設先の名護と県庁所在地・那覇の2市長のみ。政権側としては、来年に予定される名護市長選と県知事選で勝利すれば、地元の理解は得られたことになると考えているようだ。

     選挙は民意を問う重要な機会だが、今年の3市長選は普天間問題の直接の地元で行われたものではない。沖縄ではこの21年間、名護市の住民投票(97年)や各種の地方選挙で再三にわたり普天間問題が民意の分断を招いてきた。

     翁長氏は「護岸工事を強行したのは許し難い。環境保全の重要性を無視した暴挙だ」と政府批判を強めている。県による埋め立て承認の取り消し処分は最高裁で違法とされたが、承認の撤回や工事の差し止め訴訟も検討している。

     新たな基地建設が返還条件では、日米同盟に伴う基地負担を沖縄に押しつける構図は変わらない。政府は沖縄全体の負担軽減を進めることで理解を得ようとしてきた。だが、県側と対立したままの埋め立て着工は理解を遠ざけることになる。

     辺野古を「対立の海」として固定化させてはならない。

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