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社説

「共謀罪」の対象犯罪 277選定の理由がわからぬ

 「共謀罪」をめぐる法案で、政府は過去の法案を見直し、対象犯罪を半減させ277とした。しかし、なぜそれらを選んだのか政府の説明では分からない。

     保安林でキノコを違法採取する森林法違反が対象犯罪に含まれている。盗んだキノコを売り払うことが犯罪集団の資金源になり得るからだと政府は説明している。

     では、海の幸の違法採取はどうなのか。盗んだ海産物を売れば資金源になりそうだが、対象犯罪ではない。山と海では何が違うのか。

     野党委員の追及に対し、法務省刑事局長は「組織的犯罪集団が現実に行う可能性のある犯罪を選んだ」と説明した。

     だが、「可能性」と言われても説得力に欠ける。大規模な密漁が各地の海で行われている現実もある。

     法案は、犯罪に着手する前の「合意」段階で処罰が可能になる点で国民の懸念を生んでいる。対象犯罪の選定に当たっては、より明確な定義づけが必要だ。

     さらに言えば、キノコの窃盗も密漁も既に取り締まる法律はある。こうした罪を組織的犯罪集団と結びつけ、「共謀罪」の網を広くかけることに現実味があるのだろうか。

     そもそも対象犯罪について政府答弁をうのみにできないのは、説明が大きく変遷したからだ。

     法案は、国際組織犯罪防止条約を締結するためのものだ。条約は重大犯罪の「合意」などを処罰できる法整備を各国に求めている。

     政府は、対象犯罪は676に及び、条約解釈上、その数は減らせないと言い続けてきた。

     だが、今国会でテロ等準備罪に名称を変えて法案を提出するに当たり、公明党の意見を取り入れ、一挙に対象犯罪を半減させた。277の選定を巡る政府のあいまいな答弁で、半減ありきだったのではとの疑いは強まるばかりだ。

     おととい行われた参考人の質疑でも、「組織犯罪と関係ない対象犯罪が多い」などの意見が出た。

     法案審議は大型連休後、山場に向かう。法整備が条約締結の必要条件なのかといった根本的な疑問を含めて論点は山積している。法案の提出責任者である金田勝年法相の答弁責任はいっそう重くなる。

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