連載

筒井紘一の茶の湯つれづれ

京都・裏千家今日庵文庫長、茶道資料館副館長の筒井紘一さんが、茶の湯にまつわる逸話や思想、動向を紹介します。

連載一覧

筒井紘一の茶の湯つれづれ

茶事は点前より実践

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 茶道の稽古(けいこ)といえば、点前を指す。だが、点前がうまくなるだけでは、客を心から満足させる「茶事」ができるわけではない。常識にとらわれない男性メンバーだけの茶事グループを通して見えてきたことは--。

 茶道を習得する目的の一つに茶事がある。茶事とは、4時間を使った2幕のドラマと言える。

 1幕目は懐石といわれる軽い食事と二献か三献の酒を出し、2幕目は濃茶・薄茶を点(た)てて出す。客を迎えて送り出すまでの時間が約4時間。基本は、千利休以来400年間変わらない。

 三十数年前の事である。学生時代から点前の稽古だけは続けていた私は、裏千家名誉教授だった浜本宗俊(そうしゅん)業躰(ぎょうてい)(家元高弟)の傘寿祝いの茶事に招かれた。場所は京都・嵐山「吉兆」の三畳台目の茶席。客は3人で、私は詰(つめ)を仰せつかった。初めての茶事なので、教本を読んで準備万端整えて臨んだつもりでいた。亭主の点前は荘厳かつ静寂で、緊張感に包まれていた。生涯で経験したもっとも忘れられな…

この記事は有料記事です。

残り1194文字(全文1626文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集