メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

不知火のほとりで

石牟礼道子の世界/57 野人

光が差して、この世が始まる=熊本県水俣市で、田鍋公也撮影

 <日曜カルチャー>

花ひらく、空も地も裂け

 「短歌というのは私小説です」という作家の池澤夏樹さんの名言がある。石牟礼道子さんの文学について話を聞くうち、突然出てきたのだ。私は急いでメモをとった。ここでの「私小説」とは「作者と等身大の“私”が、ありのままの心情を吐露する」という意味である。

 石牟礼さんの初期の短歌、たとえば、1947年4月の歌<何とてやわが泣くまじき泣けばとて尽くることなきこのかなしみを>など、その典型であろう。前月に結婚したばかりである。めでたいはずなのにこの悲嘆のトーンはどうしたことか。

 52年、25歳の石牟礼さんは、毎日新聞熊本歌壇に投稿を始めた。投稿仲間の志賀狂太に誘われ、歌人の蒲…

この記事は有料記事です。

残り1798文字(全文2103文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. アニメ「エヴァンゲリオン」制作会社に放火予告 容疑で岡山の無職男逮捕

  2. スバル、群馬で完成車生産停止 部品調達先に浸水被害

  3. 気象庁、台風19号を命名へ 42年ぶり

  4. 山梨のキャンプ場で不明の美咲さん 両親が新たに写真と動画を公開

  5. 「こんなこと想像も」停電、断水のタワマン疲れ果て 武蔵小杉ルポ

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです