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バイオリニストのヒラリー・ハーンにとっては、リサイタルのプログラム構成そのものが作品追求の重要な構造となっているのであろう。14日、東京・トッパンホールで開かれた一夕では、前半にイザイの無伴奏ソナタ第4番ホ短調、アイヴズのソナタ第4、2番、ブラームスの「ハンガリー舞曲集」、後半にイザイの第6番ホ長調、アイヴズの第1番、バルトークの「ルーマニア民族舞曲」などが弾かれ、休憩を間に挟んで前後が照らし合う非常に知的な組み合わせになっていた。
冒頭のイザイ第4番で彼女は、自らの内面の追求と作品の外面性を一体化してとらえ、柔らかな奏法によって、そこに現代性よりはロマン性を見出(みいだ)していた。アイヴズでは、どこか懐かしいように浮かんでくる引用句の音型のロマン性に対し、むしろ擬古典的に格調を与え、内省的、哲学的に旋律線を構築する。そしてブラームスとバルトークからは民族様式性を抽象的に引き出す(欲を言えばブラームスにはハメをはずした遊びも…
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