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ヒラリー・ハーン、ノセダ指揮BBCフィル シベリウスの叙情と構造を開く

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 正統的でありながら従来の解釈を一変させる。それはいかに作品の本質のみに到達しているかということの表れであろう。ヒラリー・ハーンがジャナンドレア・ノセダ指揮BBCフィルハーモニックと共演したシベリウスのバイオリン協奏曲(13日、東京・サントリーホール)。

 まず彼女は発音法に常套(じょうとう)手段を否定する。アタックのあと少しクレッシェンドして音の真ん中をふくらます従来のロマン的なパターンを用いず、ほとんどの場合、発音されたあとのひとつの線において一定の音量を貫く。無論、古楽器的奏法とも異なる。響きを極限まで透明に純化させてそこに隅々まできめこまやかなビブラートを付けた音色は、くっきりとした構造線とやわらかな叙情性が両立する。それはこの協奏曲を単に北欧の暗い冬の森の描写のなかにとどめない。その清冽(せいれつ)な音は、まるで雪が透明な水…

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