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社説

減税案示したトランプ政権 財源軽視の大盤振る舞い

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 トランプ米政権が経済政策の基軸とする大型減税案を発表した。実現すれば、レーガン政権以来約30年ぶりの大規模な税制改革となる。

     柱は法人税率の大幅引き下げだ。主要国で最高水準の35%を一気に15%にする。「米国第一」を掲げるトランプ大統領は、米企業の競争力を強化し雇用を確保したい考えだ。

     だが矛盾も多い。まず財源を軽視した大盤振る舞いであることだ。景気刺激の狙いとは逆に財政が悪化して経済の足かせとなりかねない。

     税収減は10年間で計4兆ドル(約440兆円)規模とされるが、政権は穴埋めに必要な財源を明示していない。当てにしているのは、減税による経済成長を通じた税収増だ。

     しかし、エコノミストの間では、減税で景気を刺激しても巨額の財源を賄えるほど税収が増えるとの見方は少ない。レーガン政権時の大型減税も税収が予想より伸びず、多額の財政赤字を抱えた。成長を甘めに見積もっているのなら無責任だ。

     トランプ政権は大規模なインフラ投資も公約している。財政赤字が膨らむと、長期金利の上昇を招き、企業や家計の負担が増して経済の重荷となる恐れがある。

     一方、米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを進めている。失業率改善などを踏まえ、景気過熱を防ぐのが目的だ。

     政府が大盤振る舞いに走れば、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものだ。ちぐはぐではないか。

     また、減税案は、所得税の最高税率を下げ、相続税を廃止する。いずれも富裕層にメリットが大きい。

     トランプ氏当選の原動力となったのは、景気回復から取り残された低所得者の支持だ。富裕層が優遇されると格差は広がるばかりだろう。

     減税案は、政権発足100日に間に合わせる形でまとめられた。支持率が低迷する中、市場の期待をつなぎとめようと生煮えのまま発表を急いだとみられても仕方がない。

     今後の焦点は税制の決定権を持つ議会との調整だ。与党・共和党は減税に賛成だが、財政規律も重視し政権ほどの減税幅は求めていない。

     米国経済の行方は、日本も含めた世界経済に大きな影響を及ぼす。減税の内容と効果を精査し、安定成長につながる改革にしてほしい。

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