メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

同姓同名集め 不思議な親近感で連帯

ギネス世界記録挑戦に向けて、気勢を上げる田中宏和さんたち。前列左から3人目が幹事さん。右隣の「粋つ家」さんが営む居酒屋で。この日、115人目の田中宏和さん(後列左から3人目)が新たに加わり、車好きにちなんで「ドリフト」さんと命名された=野村房代撮影
2009年10月、「田中宏和のうた」のレコーディングに臨む11人の田中宏和さん。左端の「作曲」さんが作曲し、幹事さん(左から2人目)が作詞した=幹事さん提供

 世の中には同じ顔の人が3人いる--そんな都市伝説は聞いたことがあるが、同じ名前の人はどれだけいるのだろう。大手広告代理店社員の田中宏和さん(48)は、同姓同名の人を集める「田中宏和運動」を続け、これまで114人と会った。目指すはギネス世界記録の樹立だ。

 4月下旬、東京都内の居酒屋に、13人の田中宏和さんが集まった。さて、どう呼べば? 「ややこしいので、ニックネームで呼び分けています」。運動の発起人である「ほぼ幹事」、略して幹事さんが説明する。早稲田実業高出身の「実業」さん(24)はこの春、社会人となったことを報告。「エントリーシートに運動のことを書いたら、面接で盛り上がった。おかげで就職できました」。名古屋市で不動産業を営む「不動産」さん(57)は「最近、娘が結婚してね」と、ウエディングドレス姿の写真を誇らしげに見せる。まるで久しぶりに会った親戚たち。幹事さんは「名前が同じだけで交流が深まる。別の人生、パラレルワールドを疑似体験するみたいな感覚が面白い」と笑う。

 運動の発端は、1994年のプロ野球ドラフト会議。同姓同名の田中宏和投手が近鉄から1位指名された。幹事さんは「自分も憧れのプロ野球選手になれた気がして、ワクワクした」と回想する。

 以後毎年、雑誌やネットで目にした「田中宏和さん」について年賀状で報告していたら、コピーライターの糸井重里さんが主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で紹介する機会に恵まれた。全国から多くの「田中宏和情報」が寄せられ、2003年、初めて自分以外の「田中宏和さん」と対面。不思議な親近感にハマり、同姓同名集めがライフワークとなった。

 仲間の輪は北海道から沖縄まで、12~72歳の115人に広がった。中でも、仙台市消防局に勤める「消防」さん(46)とのエピソードが印象深い。11年の東日本大震災。消防さんは不眠不休で、救助活動の後方支援に当たっていた。幹事さんが安否を心配してメッセージを送ると、翌朝、「がんばります負けません」と返信が届いた。幹事さんがやり取りをフェイスブックに投稿したところ、多くの田中宏和さんが励ましのコメントを書き込んだ。消防さんは「会ったこともない同じ名前の人たちが応援してくれるのは妙な感じだったけど、心強くうれしかった」と振り返る。

 アニメ「ポケットモンスター」の音楽を手がける「作曲」さん(59)との出会いがきっかけで、09年には11人の田中宏和さんが歌う「田中宏和のうた」を制作。見ず知らずの田中宏和さんの披露宴に招かれ、余興で歌った。14年には一般社団法人「田中宏和の会」を設立。昨年、「エンジニア」さん(41)が開発したアプリ「田中宏和名鑑」をリリース--と活動は幅広いが、目下最大の目標は、ギネス世界記録の樹立。11年、67人の田中宏和さんが一堂に会する集会を都内で開き、記録に挑戦したが、米国のカリスマ主婦「マーサ・スチュワート」さんが集めた164人に負けた。雪辱を果たすべく、今秋にも再挑戦する集会を開く計画だ。幹事さんがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で把握している田中宏和さんは約200人おり、「どれだけ予定を合わせられるかが勝負」と意気込む。田中宏和運動のサイト(http://www.tanakahirokazu.com)やメール(info@tanakahirokazu.com)で、情報提供も呼びかけている。

 「昔は自分の平凡な名前が嫌いだった」という幹事さん。今はその平凡さに感謝し「いつか、生まれたばかりの田中宏和さんに会ってみたい」と夢見ている。【野村房代】

  = ◇ =

 ツイッターやフェイスブックなどのSNSを活用するのが手っ取り早い。記者も試しにフェイスブックで同姓同名を検索してみたが、結果は2人。やはり「平凡な名前」が有利だ。「実名で登録しているとは限らないので、実際に会う場合は慎重に」と幹事さん。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ORICON NEWS 稲垣・草なぎ・香取の写真がついに“SNS解禁” ファンから歓喜の声続々[反響を随時更新中]
  2. ORICON NEWS 松本人志、引退発表の安室奈美恵の心境察する「自分を許せなくなるのが嫌になったのでは…」
  3. 強盗致傷容疑 なたで切り付け4人重軽傷、男逮捕 高松
  4. オランダ航空機 パネル落下、車に衝突 関空離陸後
  5. 次期衆院選 福田副内閣相 自民党離党、新党参加を表明

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]