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施行70年 若者、移ろう憲法観

憲法9条に関して討議する谷口功一教授(中央)。左は学生の庄司総一郎さんと内田琢也さん(右端)=東京都八王子市の首都大学東京南大沢キャンパスで2017年4月28日、宮本明登撮影

 日本国憲法は1947年の施行から3日で70年を迎えた。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原則とする103の条文は、姿を変えることなく、戦後日本をかたちづくってきた。次代を担う若者たちは、憲法をどう考えているのか。【水戸健一】

 首都大学東京の谷口功一・都市教養学部教授(44)=法哲学=は2006年から10年間、新入生のゼミを担当した。受講前、全員に憲法9条に関して改憲、護憲、その他の立場を明確にしたリポートを2000字以上で書かせた。158人分が手元にある。

 <祖父母に戦争体験を聞くなどし、嫌だから絶対にしないとの意思を持つことが大事。戦争放棄を明記した9条の維持を支持する>

 <9条改正に賛成。武力を持ち、自由に使う権利を認めることがそのまま戦争につながると思わない。自国を守るため、攻撃されない国づくりが必要だ>

 どの年も6対4で改憲派が護憲派より多い傾向があったという。谷口教授は「護憲派は戦争を絶対的に否定する考えに支えられ、社会情勢に左右されない。一方、改憲派は社会の変化に敏感だ」と解説する。

 3年の庄司総一郎さん(21)は2年前「改憲」を主張した。自衛隊は他国軍に比べ、国連平和維持活動での任務が限定的になる。「9条が前文のうたう国際協力の足かせになっている」。普段、新聞もテレビも見ない。祖父の戦争体験を聞いたこともあったが、インターネットやツイッターの賛否を参考にして決めた。

 4年の内田琢也さん(21)は高校生の頃は「護憲」だった。「教師の影響が大きい。授業でよく政権を批判し、知的な振る舞いに憧れた」と打ち明ける。しかし、調べてみると疑問がわいた。「自衛隊の位置づけがあいまい」との理由で「改憲すべきだ」と書いた。

 谷口教授は自衛隊の海外派遣に揺れた1990年代を東京大生として過ごした。「当時は、護憲=インテリだった。今の学生には、護憲=左、改憲=右との発想や思想的な背景がない。現実の生活の中で北朝鮮などに脅威を感じ、改憲を支持するのだろう」と分析する。

 2人のように法学を学ぶ学生でも、憲法を普段、話題にすることはない。変わり者だと思われるという。

 ただ、内田さんは憲法についてインターネットやツイッターで発信する同年代に一抹の不安を感じる。自身も以前は、憲法と法律の違いも分からなかった。「憲法は必要なのか、という疑問すら持っている人もいる。憲法とは何か、きちんと勉強すべきだと思う」

 社会学者の西田亮介・東京工業大准教授は「若者にとって戦争の体験談よりも、近い将来に何かが起こりそうな不安や北朝鮮問題の方がリアリティーを持つ。社会が変わってほしいという期待感もある」と見る。「憲法とは何かという理解が広がっているとは言い難い。だからといって若者が憲法と接点を持とうとしても簡単ではない」と指摘し「考えろと若者に責任を押しつけるのでなく、国民的議論を巻き起こすべきだ」と話している。

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