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余録

「千百年来斧斤を入れざりし神林は…

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 「千百年来斧斤(ふきん)を入れざりし神林は、諸草木相互の関係はなはだ密接錯雑致し、近ごろはエコロギーと申し、この相互の関係を研究する特種専門の学問さえ出(い)で来たりおる……」▲今年生誕150年を迎えた生物学者・民俗学者の南方熊楠(みなかたくまぐす)がエコロジーにふれたのは、国が進める神社合祀(ごうし)への反対運動のさなかだった。神社の統廃合は土地の人の崇敬の対象だった神社林や巨木を次々に切り倒していったのである▲乱伐で大風水害が年々常態となり、人民は純朴の風を失い、少数の懐が肥えるほどに村が凋(ちょう)落(らく)していくのが無残だ。--こう述べる熊楠は手つかずの神社林が人々の心や地域を荒廃から守る役割を果たしていることを粘り強く訴えた▲「火事や地震の節、多大の財宝をここに持ち込み保全しうる」と神社林の防災効果を指摘したのも目立つ。「鎮守(ちんじゅ)の森」が自然保護、地域の文化や防災などのキーワードになった100年後の世は、むろん熊楠の尽力と無関係でない▲神社林の知恵を受け継いで植林を進める「鎮守の森のプロジェクト」のホームページによると、土地本来の植生を再現した林は水害や火災、地震に強い防災林になる。十数種類の木を混植すれば簡単な手入れで豊かな森が育つという▲この運動に携わる生態学者の宮脇昭(みやわきあきら)さんは、鎮守の森はその土地本来の自然植生とともに人々の生き方も詰まったタイムカプセルだと言う。ご先祖から預かり、子孫に手渡す森林の恵みに思いをめぐらしたいきょうは「みどりの日」だ。

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