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武田 砂鉄・評『家をせおって歩いた』村上慧・著

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日常や常識を剥ぎ取り、自らの足で歩き続ける

◆『家をせおって歩いた』村上慧・著(夕書房/税別2000円)

 発泡スチロール製の白い家をせおいながら、日本各地を練り歩いた美術家の1年間を記録した日記。彼は、風変わりな旅人になりたいわけではないし、自分探しをするために旅に出たわけでもない。「僕はむしろ自分を見捨てるのに必死」なのだ。

 毎夜、泊まる場所を探す。たくさん声をかけ、逆に声をかけられる。1988年生まれの彼は、時折聞こえる「若いからできていいね」との声に違和感を覚える。そういう人は、勢いまかせに旅する「非日常」の人と決めつけ、そのうち「私たちと同じような日常」に取り込まれるはず、と自分を納得させているからだ。

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