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韓国新大統領に文在寅氏 地域安定へ日韓で協力を

 前大統領の失脚に伴う韓国政局の混乱を収拾し、安定へ向かう一歩となってほしい。

     韓国大統領選で革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)氏が当選を確実にした。

     2008年まで続いた盧武鉉(ノムヒョン)政権以来の左派政権となる。

     この1カ月間、北朝鮮情勢は緊張し続けてきた。それを受けて保守派は、文氏の北朝鮮に対する融和的な姿勢を攻撃した。それでも結果に大きな影響はなかった。

     むしろ韓国の株価は上昇し、先週は6年ぶりに最高値を更新した。半年にわたった政治の空白が終わることへの期待が大きいのだろう。

     大統領選が現職の罷免に伴って行われたのは初めてだ。新政権は、罷免された朴槿恵(パククネ)前大統領の負の遺産を背負ってのスタートとなる。それを乗り越える国造りが最大の使命となろう。

    慰安婦合意を基礎に

     新大統領にはまず日韓関係の安定に向けた取り組みを求めたい。

     現在の日韓関係の基礎となっているのは、慰安婦問題に関する一昨年の日韓合意だ。それは、懸案だった日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結にもつながった。

     ところが文氏は合意に否定的で、日本との再交渉を訴えてきた。国家間の合意を一方的に覆すようなことは許されない。

     文氏は元慰安婦の考えが反映されていないと主張するが、実際には、元慰安婦の7割以上が合意に盛り込まれた事業を受け入れている。高齢の元慰安婦が存命のうちに解決策を探ろうとしたことは正当に評価されるべきだろう。

     日本側は、ソウルの大使館前に建つ慰安婦問題を象徴する少女像を問題視してきた。その問題が解決されていないのに、釜山の日本総領事館前にも新たな像が建てられたことへの反発は強い。

     残念なのは、少女像問題の深刻さを軽く見る傾向が韓国側にあることだ。新政権には合意の精神を踏まえた対応を求めたい。

     緊迫する北東アジア情勢を考えれば、日韓の協力強化は互いにとって利益となる。それなのに近年は歴史認識や領土の問題に足を取られ続けてきた。

     日韓間の懸案は、互いの国民感情を刺激しやすい。自国世論への目配りが欠かせない点で、日韓両国政府は同じ立場にある。

     両国の政治指導者には、いたずらに相手を追い込んで互いに強く出ざるを得ないような悪循環を避ける責任がある。

     対北朝鮮政策では日米韓の連携が基本である。文氏には、対北朝鮮政策でも現実的な対応を求めたい。

     米国のトランプ政権は、軍事・外交両面での圧迫を最大限に高めて核問題の対話解決に道筋をつけるという新たな対北朝鮮政策を策定した。米国はいま、中国を巻き込んで圧迫を強めようとしている。

    社会の統合が必要だ

     文氏の掲げた対北朝鮮政策はこれと衝突しかねない。特に、韓国企業が北朝鮮の労働者を雇用していた開城(ケソン)工業団地の再開は、北朝鮮に圧迫を加えようという国際的な動きに逆行している。

     米国も、北朝鮮の体制転換を狙っているわけではない。最終的に対話で解決するという目標は韓国と同じだ。それにもかかわらず韓国が性急に融和策を探ろうとすれば、日米韓の連携を乱し、北朝鮮に付け入るすきを与えかねない。

     新大統領が取り組まねばならない国内の改革は困難を極める。

     民主化後の歴代大統領は例外なく政権末期に親族や側近のスキャンダルに見舞われてきた。大統領に権力が集中していることが背景にあると指摘され、それが財閥と権力の癒着につながったと批判される。

     改革の必要性は今までも叫ばれ、大統領の権限を制限しようという努力も行われた。それでも大統領罷免という前代未聞の事態が起きてしまった。

     より根本的な対策を取るために憲法改正が必要だと指摘されている。新大統領には、改革の具体策について社会の合意をまとめるという重い課題がある。

     前大統領罷免と激しい選挙戦で、韓国社会における左右両派の対立は激化している。これを沈静化させる社会統合を図ることが、まずは必要だ。新大統領にとってはそれが試金石となる。

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