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余録

明治初めに日本各地を旅した英女性旅行家イザベラ・バードは…

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 明治初めに日本各地を旅した英女性旅行家イザベラ・バードはある夏、乗っていた人力車が突然止まり、放り出されそうになる。見ると車夫が警官に土下座し、棒にかけた着物をあわてて着ようとしていた▲当時の政府は、外国人の目に野蛮と映った裸の取り締まりを厳しく進めていた。だが、高温多湿の日本の夏に仕事をする男女が下帯や腰巻きだけの姿になるのは普通だった。車夫は緊張で震えながら警官に釈明をしているようだった▲この場はバードがとりなして逮捕は免れる。警官が消えると、若い車夫はさっと着物を脱ぎ、笑いながら駆け出した(中野明(なかのあきら)著「裸はいつから恥ずかしくなったか」新潮選書)。お上がどうであれ、裸はこの時代のクールビズだった▲今日ではクールビズで政府内の意見が食い違うこともある。職場の室温の目安を28度とする政府だが、先の副大臣会議ではクールビズ導入時の担当者が目安に科学的根拠はないと明かし、28度は暑いと見直しを求める意見が相次いだ▲これに対し「28度には根拠がある」と、法令などを示しながら記者会見で反論したのは山本公一(やまもとこういち)環境相である。「クールビズは国民運動」だと政府部内の異論にくぎをさし、突然に噴き出た見直し論の火消しに汗をかく一幕となった▲暑かったら裸になれたり、お上の威令に土下座したりした時代ではないから、室温の目安はあくまで目安である。それより地球温暖化防止や省エネへむけたアイデアと無縁の政府内クールビズ論争が情けない。

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