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内田麻理香・評 『我々みんなが科学の専門家なのか?』=ハリー・コリンズ著

 (法政大学出版局・3024円)

 原発やワクチン接種など、深刻な被害を起こす可能性があり、さらに政治的判断が絡む科学的問題は、専門家も非専門家も入り交じった意見の対立が起きやすい。このような問題に、素人である私たちはどう関わったら良いのだろうか。

 著者のコリンズは、表題の問いに対して「我々みんなが科学の専門家というわけではない」と結論づける。その主張は明確であるが、彼の意図するところは少々わかりにくい。表面的には著者がエリート主義者であり、科学者以外が科学の問題に関わることを拒んでいるようにも読めてしまう。しかし、著者にとっては科学の問題で判断が必要なときに、科学者だけに任せるのではなく、一般の人々も参加すべきだというのは大前提だ。その場合、非専門家としてどう問題にアプローチすれば良いのかを示す。

 そのために、専門知に焦点を当て検討していく。我々みんなは科学の専門家ではないが、それぞれの仕事や生活における専門知、「スペシャリスト専門知」の持ち主だ。著者はそのスペシャリスト専門知を構成する重要な要素として、「スペシャリスト暗黙知」を考える。スペシャリスト暗黙知は、徒弟制などを通じて得られる、言語化はできない、専門家コミュニティー内で共有された知のことだ。論文など一次資料をいくらか理解できると…

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