メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

裁判官のみ審理急増 16年元暴力団声かけ後

裁判員裁判が除外された被告数

「裁判員除外」いずれも暴力団関連事件 小倉支部が最多

 21日に施行から丸8年を迎える裁判員制度を巡り、殺人などの対象事件の裁判で起訴された計20人の被告が裁判官のみの審理で行うと決定され、うち13人が2016年以降の決定であることが、最高裁のまとめで分かった。制度上、裁判員に危害が及ぶ可能性があるような事件では「除外決定」が認められているが、昨年以降に急増した背景には、昨年5月に福岡地裁小倉支部で元暴力団員が裁判員に声をかけた事件が影響した可能性がある。識者の間では「やむを得ない」と理解する声がある一方、疑問視する指摘も出ている。

 最高裁によると、除外決定を受けた事件の被告は15年までの6年半には7人だったが、16年は10人と急増。今年も3月までに3人の事件が除外された。地裁(支部含む)別では小倉支部が最も多く9人で、他に福岡8人▽福井2人▽岡山1人--。いずれも暴力団関連事件だった。

 裁判員法3条は、裁判員に危害が及ぶ可能性があり裁判員の確保が難しい場合、裁判官が職権か、検察側や弁護側からの請求で裁判官だけの公判に変更できると定める。「具体的な危険性」が認められなければ除外できないとされており、施行当初は除外請求が却下された例も複数あった。

 だが、16年5月に小倉支部の殺人未遂事件の初公判後、傍聴に来た特定危険指定暴力団「工藤会」系元組員らが裁判所の外で裁判員に「あんたらの顔は覚えとる」と声をかけ、その後、裁判員法違反(請託、威迫)容疑で逮捕される事態が起きた。殺人未遂事件は公判途中で除外決定がなされた。福井地裁は16年12月、銃刀法違反事件の除外決定の中で声かけ事件に触れ、「裁判員が職務を行うことに強く躊躇(ちゅうちょ)することは容易に予想される」と指摘した。

 こうした傾向について、暴力団対策に詳しい澤田和也弁護士は「現実に裁判員に対する危険が生じ、裁判所は裁判員の安全を重視する判断に傾いているのだろう。当面はやむを得ないのではないか」と話す。裁判員制度に詳しい大出良知・東京経済大教授(刑事訴訟法)は「小倉のようなケースは裁判所などの対応いかんで避けられる可能性が高い。裁判員裁判は国民が犯罪や刑事司法の実情に向き合うべきであるとの考えが基本にあり、安易な裁判員の除外は制度の趣旨に反する」と疑問視する。【伊藤直孝】

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. もう二度と 相模原殺傷事件1年 娘の死、向き合えぬ 62歳父、がん延命拒否 「会って抱っこしたい」
  2. 相模原事件 「やまゆり園」止まったままの日常 内部公開
  3. 傷害容疑 「歩きスマホが悪い」と体当たり、女性が重傷
  4. 阪神電鉄 駅ホームから転落、特急にはねられて男性死亡
  5. 相模原事件 甘えん坊の娘、現実結びつかない 被害者の父

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]