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<「共謀罪」法案>審議大詰め 「一般人」解釈巡り攻防

 組織犯罪を計画段階で処罰可能とする「共謀罪」の成立要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、衆院法務委員会の審議が大詰めを迎えている。テロ対策を前面に出す政府・与党は今週中にも衆院を通過させ、今国会での成立を図る方針だ。「捜査機関の恣意(しい)的運用の恐れ」を強調してきた民進、共産両党は反対の姿勢を崩していない。衆院での質疑から論点を整理した。【樋口淳也、遠藤拓、鈴木一生】

    与野党に隔たり、可視化導入も争点

     今回の組織犯罪処罰法改正案に関する衆院審議で、最大の対立項目は「一般人も捜査対象となるのか」という点だ。野党側は「対象となる余地がある」と追及し、政府側が「対象にならない」と否定する構図だが、かみあわない場面も目立つ。使い方と文脈によって意味が異なる「一般人」が飛び交うため、審議は混乱含みだ。

     過去に廃案となった「共謀罪」は適用対象を単に「団体」としていたため、「労組や市民団体も対象になる」との批判が強かった。政府は「テロ等準備罪」の適用対象を、重大な犯罪を行うことを共同の目的として結びついている「組織的犯罪集団」と改めた。政府が「一般人は捜査対象にならない」とする根拠はこの変更にある。

     政府は「一般人」を「通常の社会生活を行っており、組織的犯罪集団と関わりのない人」と説明。殺人のように適用対象の規定がない罪では、老若男女問わず捜査対象となる。だが、テロ等準備罪では、捜査開始に必要な嫌疑(容疑)があると言うためには、ある人に組織的犯罪集団への関与が認められなければならず、その結果として「嫌疑がある段階で一般人ではない」ことになる。井野俊郎・法務政務官は「その集団に該当する人や周辺者は暴力団や薬物犯罪に関わる人で、一般人とは明らかに違う」と補足した。

     これに対し、民進の逢坂誠二氏は4月28日の質疑で「捜査をしなければ白か黒か分からないのではないか」と追及。嫌疑を持たれたが、証拠が乏しくて逮捕や起訴が見送られた人を念頭に「一般人も捜査対象ではないか」と主張した。

     「一般人」の範囲を巡るやり取りの背景には、捜査機関の信頼性をどう見るかという問題が横たわる。民進、共産と距離を置く日本維新の会は法案の必要性に理解を示しつつ、取り調べの録音・録画(可視化)の制度化に関する検討を盛り込んだ修正案を自民、公明と共同で出した。捜査の乱用防止措置のあり方も議論の焦点となりそうだ。

    計画段階で立件、想定

     テロ等準備罪が想定するのは、組織的犯罪集団が重大犯罪を計画(共謀)し、現場の下見などの「実行準備行為」に進んだ段階だ。例えば、「テロ組織が、乗っ取った飛行機で日本国内のビルに突入する計画をし、空港の見取り図を入手した時点」で、計画に加わったメンバー全員を逮捕できることになる。

     現在でも、爆発物取締罰則などいくつかの法律には共謀罪があり、殺人罪やハイジャック防止法などでは予備行為を処罰できる規定がある。だが、予備行為には「客観的に相当の危険性」の証明が必要で、ハードルは高いとされる。テロ等準備罪は共謀罪と予備罪の間をカバーするのも目的の一つだ。

     4年以上の懲役・禁錮が科される犯罪全てを対象とすると676。だが、「多すぎる」との批判が与党内にもあり、事前に計画できない過失犯などを除いて277になった。

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