松本三四郎さんは、明治25(1892)年東京に生まれ、昭和54(1979)年メキシコで亡くなった。私は、晩年の10年間、親しく交わり口述をもとに自叙伝「メヒコで百年」を編述した。
松本さんは、庭師として中南米に渡った父を連れ戻すため、17歳のとき日本を後にした。父は、江戸時代に大名屋敷の庭を築いたが、維新後の日本には腕を揮(ふる)う場はなく、中南米の金山や銀山の持ち主の庭を造っていた。
メキシコで父とめぐり合ったが、借金があり、訴えられていて国外に出るわけにいかない。そのうち革命の騒動に巻き込まれた。働いて父の借りた金を返した。12年後、日本から妻を迎え、母も呼び寄せた。植木に加え花を売るようになって事業は拡大し、十幾つもの農園を経営した。
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