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バングラデシュ

キラキラ雑貨人気 女優が工房設立

「キラキラと輝いて、持っているだけでいやされるグッズばかり」と話す渡辺麻恵さん=2017年5月16日、中嶋真希撮影

 ラインストーンで飾り付けをしたペンや、ドレスにも合うビーズのネックレス。バングラデシュの首都ダッカに暮らす女優の渡辺麻恵さん(36)が、現地女性と一緒に雑貨作りに奔走している。貧困にあえぎながら子供を育てる女性を支援したいと始めた事業だが、「ストーリーよりも雑貨のかわいさを見てほしい」と品質に自信を見せる。バングラデシュでもCMやドラマで活躍する渡辺さんが、雑貨作りを始めた理由とは--。【中嶋真希】

 ピンク色のラインストーンで輝くペンや、ビーズを編んだネックレス、エキゾチックなウッドビーズのピアス、古新聞を使ったオブジェのような鏡。バングラデシュとインドの国境に近いハルアガットの工房で、村の女性たちが作った雑貨だ。ダッカのレストランやインテリアショップ、フリーマーケット、ウェブサイトなどで販売されており、学校での訪問販売では、飛ぶように売れることも。工房を仕切る渡辺さんは、「女性たちのストーリーに共感してもらうことも大事だけど、一番の自慢は商品のかわいさ。『かわいい』『いいね』という気持ちで使ってもらえたら」と話す。

 工房は、ダッカ大学出身の若者が、路上で暮らす子供たちを支援するために設立したNGO「エクマットラ」が建設中の職業訓練施設「エクマットラアカデミー」の中にある。働くのは8人。村には女性が50人ほどいるが、その中でも特に、子供を育てるのに現金収入が必要な女性と面接を重ねて選出した。報酬で子供を学校に通わせることが、工房で働く条件。自分のことにお金を使ってしまい、子供が路頭に迷わないための配慮だ。販売できるほどの商品を作れるようになるまでは苦労も多かったが、渡辺さんは「バングラデシュの人たちは、色遣いが大胆で生まれながらのアーティストが多い。器用で、センスが良くて、能力を秘めている」と胸を張る。

エクマットラハンディクラフトファクトリーの雑貨=渡辺さん提供

現地テレビで活躍するかたわら

 渡辺さんは、10代のころからタレント活動や舞台で活躍。2012年、エクマットラの創立メンバーの一人である渡辺大樹さん(37)と結婚し、同年4月に同国へ渡った。路上で暮らす子供たちに青空教室を開いたり、シェルターで子供たちと共同生活をする活動を手伝いながら、ベンガル語を習得。現地でも女優として活動し、ユニクロの現地広告や、テレビドラマなどに出演するほか、アニメスタジオを運営する水谷俊亮さんと組んだ音楽ユニット「バズナ・ビート」で“バングラデシュの紅白歌合戦”と呼ばれる「ロビンドロ・ショルボール」のステージにも出演した。

 転機となったのは、妊娠が判明した13年4月。体が思うように動かなくなり、エクマットラの活動を以前のように手伝えないことにもどかしさを感じた。そんな時、たまたま近くの妊婦保護センターを訪問。そこは、夫の暴力から逃げてきた女性や、路上でレイプされて妊娠した女性をかくまう場所で、外にも出られず、センター内で寝て過ごす女性たちがいた。彼女たちと一緒に何かできないかと考え、エクマットラで子供たちと一緒にやっていた、ペンにラインストーンをつけて販売する作業を提案。商品ができると、1本ごとに報酬も渡した。

 渡辺さんが帰国して出産し、14年3月に再びバングラデシュに戻ると、ペン作りで報酬をためた女性が、きれいなサロワカミューズを着て「村に帰る」とあいさつに来てくれた。女性は渡辺さんに、「私は、出産したことも、赤ちゃんを里子に出したことも、ペン作りをしたことも、村の人には話しません。でも、報酬をもらったおかげで、みすぼらしい姿ではなく、きれいな格好で帰れる。ありがとう」と言った。話を聞いた時はこらえたが、帰り道は涙が止まらなかった。

 渡辺さんは、「村に帰る資金がたまるくらいじゃなくて、もっと人生を分かち合えるような仕事を女性のために作りたい」と決心。エクマットラの職業訓練施設の建設がある程度終わると、子供たち向けの訓練所オープンに先駆けて、昨夏に工房をオープンした。

工房で作ったアクセサリーを身につけた渡辺麻恵さん=渡辺さん提供

日本での販売も計画中

 バングラデシュでの販売は順調だが、日本での販路は模索中だ。学園祭などイベントでの販売や、雑貨店などでの販売ができないか、営業活動を続けている。「持っていると、気持ちが上がる商品ばかり。日本でも、個人で買ってもらえるようにしたい」と意気込んでいた。問い合わせは、エクマットラのメール(info@ekmattra.org)か、ウェブサイト(http://www.ekmattra.org/jp/craft.html)まで。

中嶋真希

2006年毎日新聞社入社。静岡支局、毎日小学生新聞などを経て15年10月からデジタルメディア局。東日本大震災の影響で統廃合した宮城県石巻市の小学校や、性的少数者、障害者の社会進出などについて取材を続けている。共著書に「震災以降 終わらない3・11-3年目の報告」(三一書房)がある。

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