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快慶 阿弥陀如来立像(奈良・東大寺) 今も生きる普遍的な美

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重要文化財 1203年 木造 金泥塗・截金
重要文化財 1203年 木造 金泥塗・截金

 気品あふれる端正な顔立ちに均整のとれた姿。鎌倉時代に活躍した仏師として運慶と並び称される快慶の仏像は、洗練された親しみやすさに特徴がある。量感豊かな力強い造形で幕府の支持を得た運慶とは対照的だ。

 快慶は熱心な阿弥陀(あみだ)信仰者だった。生涯にわたり、高さ90センチ前後の阿弥陀如来立像、通称「三尺阿弥陀」を造り続けた。東大寺の阿弥陀如来立像は代表作。着衣に多彩な截金(きりかね)文様が施され、その美しさに思わず手を合わせたくなる。「快慶は平安時代後期の伝統を踏まえつつ新味を加え、祈りの対象として万人が向き合いやすい理想的な仏の姿を追求し続けた」と奈良国立博物館の山口隆介・主任研究員は解説する。

 京都・遣迎院の本尊は三尺阿弥陀の最も早い作例。特筆すべきは、像内に約1万2000人もの結縁(けちえん)者の名が記された文書が納められていたことだ。快慶の仏像が当時、いかに熱狂的な支持を得ていたかが分かる。社会不安や末法思想を背景に浄土教が広まった鎌倉時代には、多くの人々が来世の救済を願い、結縁による組織的な造仏が行われるようになった。快慶の手がけた三尺阿弥陀には人々の願いを極楽へ届ける器としての…

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