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<毎日かあさん>「お母さん」を卒業します

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=小出洋平撮影 拡大
=小出洋平撮影

 <おんなのしんぶん>

 西原理恵子さんの連載漫画「毎日かあさん」が6月26日で終わります。2002年10月の連載開始から足かけ16年、息子はこの春に大学に入学、娘も高校2年生となり、自立する年となりました。母さんを卒業した気持ちと女性の生き方、そして10月から始まる新連載について西原さんに聞きました。【聞き手・矢澤秀範】

 --長期にわたる連載を終える決断をした理由は。

単行本「カニ母編」の表紙イラスト 拡大
単行本「カニ母編」の表紙イラスト

 ◆お母さんが終わったからです。うちでは16歳が独り立ちの時と決めていて、下の娘がその年齢に達しました。自分のすることを自分で決めて、舟に帆を張り、そこに風が吹いているような状況だと思うんです。「あっ、お母さん終わった」って気が付いた。後は自分の好きな人生を送らせてもらいます。子育て終わり。お母さん卒業。各自解散!

 --子育て中の人たちに「声にならない声を漫画にしてもらえた」と共感を呼んだ。

 ◆最初は「絵や字が汚い」「非常に下品」とお叱りや苦情もありました。けれども、2歳の娘が涙をふきながら保育園で迎えを待つ「台所」(「毎日かあさん カニ母編」収録)ですごい反響があり、読者から「うちもそうでした」って。当時は「子どもを保育園に入れるのは子どもを捨てる」みたいに言われて、(母親を)誰も助けてくれない。そういう現実の中のお母さんが私を支持してくれました。今はかなり意識が変わってきて本当に良かったと思います。

 --印象に残ることは。

 ◆長い間、幸せでした。多くの読者から「そうなのよね」って言葉が寄せられたのがうれしかった。保育園のママ友みたいな感じでした。年配の女性たちからお手紙やお声もいただきました。「あなたみたいな子育てを応援します」とか「こうやって叱らずに育てればよかった」って。非常に愛情のある声が多かった。私のだらしなくて、割といいかげんな子育てを「いいよね」って言ってくれた。みんなで慰め合ったという感じ。共感や励ましじゃなくて「このぐらいでよくない」「私もそう思う」みたいな。今まで子育ては聖域だったんです。その像をちょっと私が崩したら、たくさんの女性たちが「そうだよね」って。それが先輩女性からも来たのがうれしかった。

 --家族が題材だが、漫画はフィクションだった。

 ◆実際、いろんなお母さんがネタをすごい持ってきてくれたんですね。息子や娘の悪口は「大好きな恋人の悪口」なんです。非常に愛情のある悪口をいろいろ詰め合わせ、自分の子どものように描いた。だからうちの息子はあそこまでアホじゃないです。娘もいろんな女の子の要素を集めてできました。

 --家庭は多様化している。子育て中の人にメッセージを。

 ◆自分が腹立たない環境を作りましょう。子どもを怒らないためにどうすればいいか考えるんです。怒られる子どもが一番つらいですから。私が唯一やりたかったのは「子どもを怒鳴らないですむ家にしたい」。何でそんなに腹が立っているか5分だけ息を抜いて考えてください。お互い何が一番かといったら憎しみ合わないこと、けんかしないことが大事だと思うんです。家は汚くていいですよ。

 --10月から始まる新連載の構想は。

 ◆卒母(そつはは)(子育て卒業)した同じ女性の悩みや第二の人生を描きたい。女性にとって一番楽しい時期なんです。素晴らしい人生のうんちくを持っているし、古い固定観念に縛られていない「野良母」みたいな人がいっぱいいる。すごくいい人生模様です。その多様性、年がいったおばさんたちの柔軟な人生を描ければ。私たちの母親の世代が夫に殴られたり、しゅうとめにいびられたりしても「あなたたちはそんな目にあってほしくない」と変えてくれたように、私たちも次の世代の常識を変えていきたい。娘たちにはもっと楽しく生きてほしい。おばさんの愚痴と説教だと思って読んでください。


10月から新連載

 「毎日かあさん」は2002年10月に連載を開始し、離婚や元夫の死去も描かれました。文化庁メディア芸術祭賞、手塚治虫文化賞、日本漫画家協会賞を受賞。09年にテレビ東京系列で地上波テレビアニメ化、11年に映画化されました。単行本の売り上げは累計約240万部になります。

 西原さんの新連載は10月から始まります。これまで通り、週1回の連載です。新連載開始までの7~9月は読者の皆さんの投稿「卒母してのひと言」と西原さんのイラストを掲載します。子育て中の後輩母さんに送る本音のアドバイス、大変だった頃の思い出を募集する予定です。

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