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余録

「星月夜(ほしづきよ)」とは…

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 「星月夜(ほしづきよ)」とは星と月の出ている夜ではない。星の光が月のように明るく見える夜のことである。今や多くの人にとって想像するのも難しかろうが、天文随筆家の野尻抱影(のじりほうえい)は戦時中の東京の星月夜をこう記す▲「警戒管制の暗闇で、江戸時代の夜でもこうは暗くなかったろう……息を詰めている頭の上で、天の川が銀色の煙幕を引いたように輝いて、仲間の鉄かぶとにもその光が映っていた。あまりに明るくて、全市がそれに曝(さら)されていると思うと、不気味なくらいだった」▲欧米の研究チームの「世界の夜空の明るさ地図」によると、今では日本人の7割は人工の光の影響で天の川が見えぬ場所に暮らしているという。子どもに七夕の物語を聞かせるのはいいが、天の川の説明に窮する方も多いに違いない▲人工光で夜空が照らされ、星が見えなくなったり、生態系に影響を与えたりする「光害」である。とくに近年普及してきた白色発光ダイオード(LED)灯は従来の街灯のナトリウム灯より約2・5倍も夜空の明るさに影響するそうだ▲そこで各地の星空の見やすさをランク付けし、自治体に光害対策を促す環境省のアイデアである。当面はデジタル写真で星の見え方を比較するための統一基準作りを行う。結果次第では「星月夜の町」という観光PRもできるわけだ▲「真砂(まさご)なす数なき星の其(そ)の中に吾(われ)に向ひて光る星あり」は正岡子規(まさおかしき)の歌である。せっかくあなたのために光ってくれている星もあるのに、もしや今まで見逃していないか。

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