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日本の言語空間を変えた芸人の言葉と話法の力
◆『お笑い芸人の言語学 テレビから読み解く「ことば」の空間』吉村誠・著(ナカニシヤ出版/税別2200円)
ごく稀(まれ)にイベントでお笑い芸人と一緒になると、言葉選びの速度と精度に漏れなく唸(うな)る。今、その場で起きていることを端的に掴(つか)み取る能力が突出している。新聞記事やニュース番組では5W1Hを伝えることが基本とされるが、芸人はその六つのうち、その瞬間に必要な一つを選び抜き、それだけを力強く伝える。だらだら並べないのだ。
このところワイドショーのコメンテーターに芸人が重宝されており、社会時事を掘り下げずに表面をなぞるだけの姿勢に賛同できないことも多いが、時間を割いて煮え切らないことを言うよりも、時間をかけずに強引に的を絞るほうが、視聴者は「なるほどよく分かった」と思う。
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