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社説 がん患者と働く環境 受動喫煙の防止が重要だ

 「(がん患者は)働かなければいいんだよ」。受動喫煙対策を議論する自民党厚生労働部会での大西英男衆院議員の発言だ。子宮頸(けい)がんの経験者である三原じゅん子参院議員が職場での受動喫煙に苦しむ患者の立場を訴えたことへのヤジである。

     批判された大西議員は「(がん患者らの)気持ちを傷つけた」と謝罪した。がんと診断される人は年間100万人を超えると予測され、働き盛りの人も多い。がん患者の就労支援の切実さを改めて考えたい。

     がんやぜんそくなどの病気を抱えながら働いている社員、妊娠中の女性などは職場での立場が弱い人が多い。「会社に迷惑をかける」と退職を余儀なくされ、差別を恐れて病気を隠している人もいる。

     「『喫煙可能の店で無理して働かなくていいのではないか』との趣旨だ」と大西議員は釈明する。しかし、政府による社会保障費の抑制政策の中で、無理をしても働かなければ生活できない人がいることにも思いをはせるべきだ。

     打ち合わせや接待、送別会などで喫煙可の飲食店に行くことを拒めない人もいる。非正規雇用労働者の中には、条件の良い勤務先を選べず、嫌でも喫煙店で働き続けざるを得ない人も少なくないだろう。

     安倍政権は「1億総活躍社会」の看板を掲げ、仕事と生活を両立できる「ワーク・ライフ・バランス」の実現などを目指した「働き方改革」に取り組んでいる。がん対策推進基本計画でも重要な項目の中に、治療をしながら働き続けられる支援が挙げられている。

     そのためには社員の健康に配慮した職場の環境整備を進めなければならない。肺がんや心疾患をはじめ受動喫煙による健康被害については、国内外で多数の医学論文が警鐘を鳴らしている。すぐに被害が発生するわけではないので、現在健康な人には実感がわかないだけだ。

     乳幼児突然死症候群と受動喫煙との因果関係を裏付ける調査もある。リスクを避けようがない胎児や子どもにまで被害が及ぶことを重く考えないといけない。

     社会的に弱い立場の人々や子どもが健康被害にさらされていることに想像力を働かせ、思いやりのある議論を政治に期待したい。

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