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社説

原発再稼働に頼る関電 持続可能な経営なのか

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 原子力規制委員会は福井県の関西電力大飯原発3、4号機の安全審査で、新規制基準に合格したことを示す審査書を正式決定した。

 関電の原発では、同県の高浜4号機が今月再稼働した。高浜3号機も来月再稼働する予定だ。

 地元同意が得られれば、年内にも原発4基が稼働する体制が整う。

 関電は最終的に、老朽原発3基を含め福井県内に所有する9基を再稼働させる方針だ。大手電力会社の中でも原発回帰の姿勢が際立つ。

 だが、事故に備えた自治体の住民避難計画は不十分なままだ。

 大飯原発と高浜原発は十数キロしか離れていない。自然災害などで過酷事故が同時発生すれば、対応は一層困難になる。原発集中立地の問題は規制委も今まで真剣に検討してこなかった。そうした状況にもかかわらず、関電が原発再稼働を相次いで進めることは、認めがたい。

 関電は、火力発電の燃料費削減により収支が改善し、電気料金を値下げできるという。短期的に見れば、確かにその通りだろう。しかし、原発に頼るばかりで持続可能な経営と言えるのか、大いに疑問がある。

 東日本大震災前、関電は発電量に占める原発比率が5割を占め、電力会社で最も高かった。震災後はその分、火力発電の燃料費がかさんだ。電気料金を2度値上げし、顧客離れを招いた。岩根茂樹社長は「最大の経営戦略は再稼働」と語る。

 だが、風力や太陽光発電のコストは低下し続けており、世界のエネルギー投資は再生可能エネルギーに集中するようになった。一方で先進国の原子力産業は斜陽化している。

 安倍政権も長期的には、原発依存度を引き下げる方針だ。そもそも、老朽原発の安全対策費が想定を上回るかもしれない。大事故を起こせば、会社の存続すら危うくなる。

 原発に左右されない経営体制の構築こそが、関電にとっても長期的な利益にならないか。大阪市と京都市は「経営体質の強化と安定化につながる」として、脱原発依存を関電の株主総会で提案してきた。

 大飯原発では今後、地元同意手続きが焦点となる。事故の影響を考えれば、同意の範囲を立地自治体に限らず、避難計画の策定が義務づけられた原発30キロ圏に拡大すべきだ。

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