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時代の風

各界の文化人が、それぞれの視点で混迷する時代を読み解きます。

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「分煙」が不可な本当の理由=藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員

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=西本勝撮影
=西本勝撮影

「吸わない権利」が優先

 「2020年のオリンピックに向けて」という標語の下、共謀罪が制定されようとしている。他方、同じ標語の下に厚生労働省が提案した飲食店内の全面禁煙は自民党内から激しい反対を受けている。前者に賛成し後者に反対する人は、本当に真面目にオリンピックのことを考慮しているのか。

 もう世間は忘れてしまったのだろうが、オリンピック以上に「国際テロ」の標的になりそうな伊勢志摩サミットと、それに随伴する多数の閣僚会議が、昨年全国各地で行われた。これらが「逮捕者ゼロ」というめでたくも平穏無事な結果に終わったことは、ほとんど報道されていない。だが共謀罪を巡る議論の中では、そうした事実こそ本来指摘され考慮されなくてはならないはずだ。結果として無事に済んだだけだったのか、それとも警備が十分有効に機能したのか。当時からすでに共謀罪があったら、何かが違っていたのか。事実に基づき「PDCA(計画・実行・確認・計画修正)を回す」ことの重要さを、筆者は当欄で、過去もこれからも言い続ける。

 他方でサミット関連も含めて昨年、史上最高の2400万人の外国人が来日した。その相当数が飲食店内の喫煙が野放しの日本の現状に驚き、大なり小なり不快に思っただろう。飲食店内の全面禁煙は、今世紀の世界の常識だからだ。欧米豪はもちろん、韓国、台湾などの東アジア先進地域でもとうに実施されている。中国やインドや東南アジアでも、少なくとも大都市は同様だ。そういう事実を理解したうえで、「他国がおかしいのであって…

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