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社説

「共謀罪」きょうから参院へ 抜本的な修正を求める

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 多くの疑問を残して衆院を通過した「共謀罪」法案は、きょうから参院での審議が始まる。

 政府はテロ対策を前面に打ち出しているが、捜査権が乱用されれば、警察による監視社会を招く。法案に対する懸念の核心がここにある。

 海外と情報を共有するために、国際組織犯罪防止条約の締結は必要だろう。ただし、こうした治安立法に当たっては、人権に最大限の配慮をすることが必要不可欠である。

 このため、私たちは「共謀罪」の対象犯罪を大幅に絞り込むことと、捜査権乱用の歯止め策を法案に書き込むことの二つを求める。参院は法案を抜本的に修正すべきだ。

 政府がなぜ277の犯罪を対象にしたのか、根拠は不明確なままだ。中には、保安林でキノコを採る森林法違反や、墓を荒らす墳墓発掘死体損壊罪など明らかに関連性の乏しいものが含まれている。

 著作権法違反のように国民生活に身近な犯罪もある。政府は、組織的犯罪集団が資金獲得のために海賊版CDの販売を計画するような例を挙げた。しかし、現実性に乏しく、場当たり的な印象は否めない。

 自民党法務部会ですら、2007年に犯罪数を128に限定した小委員会案を作成している。外務省によると、条約締結に当たってスペインが共謀罪などの対象にした犯罪数は46、スイスは約100にとどまる。

 犯罪の計画、準備段階で処罰することの必要性に着目すれば、大幅な絞り込みが可能なはずだ。

 同時に、捜査の行き過ぎを防ぐため、厳格な歯止め策を法案に盛り込むべきである。

 衆院では「捜査を行うに当たってはその適正の確保に十分配慮しなければならない」との規定を追加する修正がなされたが、これではまったく不十分だ。労働組合や市民団体の活動を、警察が不当に監視できなくする明文規定が必要だろう。

 法案については、プライバシー権に関する国連特別報告者が、恣意(しい)的な運用のおそれを指摘している。政府は耳を傾けるどころか抗議した。

 参院は、衆院での「過ぎたるを抑え、足らざるを補う」ところに存在意義がある。国民的な合意が不足している法案だからこそ、再考の府ならではの役割を果たすべきだ。

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