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社説

「待機児童ゼロ」3年先送り 不十分な対策が招いた

 認可保育所に入れない待機児童をゼロにするという安倍政権の公約の先送りが正式に決まった。

     待機児童は昨年4月時点で全国に2万3500人余いる。政府は今年度末までの解消を目指したが、今春になっても高止まりしたままだ。

     このため安倍晋三首相は新たに2018年度からの3年間で22万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童ゼロを目指すと発表した。さらに22年度末までに10万人分の受け皿を追加で整備し、女性の就労を進めるという。

     政府や自治体の保育需要の予測が甘く、対策が不十分だったと言わざるを得ない。目標を先送りすることになった原因を検証し、有効な施策を打ち出す必要がある。

     待機児童は東京都内をはじめ都市部の自治体に多く、1~2歳児が全体の7割以上を占める。

     保育所の増設に努めてきた自治体もあるが、保育所を作ると潜在的な需要を掘り起こし、なかなか待機児童が減らないことは以前から指摘されてきたことだ。

     安倍政権は女性の就労促進を進めており、労働力不足の中で働く女性が増えれば、保育の受け皿が不足することは予測できたはずだ。

     母親の就労の意向を詳しく調べないまま、不正確な保育需要の予測をしてきた自治体もあるという。

     待機児童の多い1~2歳児は6人に保育士1人の配置が義務づけられている。3歳児の20人に1人と比べて多数の保育士が必要だ。

     意欲のある自治体は賃金の上乗せや家賃補助によって保育士を確保しているが、その一方でせっかく保育所を新設しても保育士が集まらないため定員を減らして運営せざるを得ないところもある。

     政府は今年度から保育士の賃金を平均6000円引き上げ、経験や技能に応じて最大4万円を上乗せする待遇改善措置を始めたが、効果は限定的と言わざるを得ない。

     勤務が過酷なため早期退職者は多い。資格があっても働いていない「潜在保育士」は70万人以上いる。

     小規模保育や事業所内保育をはじめ、需要の多い低年齢児の受け皿の拡充を全力で進めなければ、安倍政権の「待機児童ゼロ」はまたしても空証文となるだろう。

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