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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「世界各国がいま協力しないならば…

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 「世界各国がいま協力しないならば、おそらく今後30年の間に次の世界大戦が起こるだろう。そしてその戦争はずっと苛酷(かこく)なものになるだろう」。ウィルソン米大統領が米国の国際連盟への加盟を訴えた演説だ▲第一次大戦後の恒久平和のために彼が提唱した国際連盟だが、当の米国で上院の反対が加盟をはばんだ。ウィルソンは国内遊説で先の訴えをくり返したが、途中で病に倒れる。世界はその予言通り、20年後に第二次大戦へと突入した▲そして今日、世界約190の国と地域が手を取り合って防ごうとする地球の破滅の予言に背を向けたのは米大統領だった。もちろん地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの米国の離脱を表明したトランプ大統領のことである▲日本の環境相すら「人類の英知に背を向けた」と怒ったくらいだから、「失望」「深刻な誤り」などの批判が各国首脳間で飛び交ったのは当然だ。互いに苦労して積み上げた地球規模の取り組みをだいなしにした「米国第一」だった▲だがそれにもまして険しい目で大統領の選択を見つめる多くの米国民がいよう。古い産業構造の温存にこだわり、21世紀の脱炭素型文明への転換をさまたげる政策は米国をどこに導くのか。奪われるのは自分たちの未来だからである▲挫折(ざせつ)したウィルソンの志は、第二次大戦の惨禍(さんか)を経て米国主導の戦後世界秩序に生かされた。政府がだめなら、市民、企業、自治体で続ける温暖化対策の取り組みで守るしかない21世紀の米国の指導力だ。

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