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武田 砂鉄・評『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎・著

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むさぼり喰われたいほどバッタ愛が止まらない

◆『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎・著(光文社新書/税別920円)

 世の中には、犬の気持ちや猫の気持ちを推し量る本や記事が溢(あふ)れているが、バッタの気持ちを知ろうとするものはない。なぜなら私たちは、バッタのことをそんなに知りたくないからだ。

 バッタに取り憑(つ)かれた昆虫学者の夢は「自分もバッタに食べられたい」。小学校低学年の頃に読んだ科学雑誌で、緑色の服を着ていた女性がエサの植物と勘違いされ、バッタの大群に襲われて服を食べられた、とのエピソードを読んだのだという。本書の後半で著者は、一歩間違えれば地雷原でもある砂漠の大地で、緑色の全身スーツに着替え、「さぁ、むさぼり喰うがよい」とバッタの襲来を待ち焦がれる。

 昆虫学者として大成する。大好きなバッタを仕事にする。この二つを掛け合わせて唯一導き出された答えが、西アフリカ・モーリタニアに飛び、サバクトビバッタの研究に励むことだった。アフリカでは、時に数百億匹のバッタが群れ、東京都くらいの広さで移動しながら、あらゆる緑を食い散らかす。「神の罰」と称されるバッタの大量発生は、アフリカの貧困問題にも直結しているのだ。

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