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将棋界で14歳の快進撃が続く。
中学生棋士、藤井聡太(ふじいそうた)四段(14)が自らの持つデビューからの公式戦連勝記録を23に伸ばした。歴代の記録でも、羽生善治(はぶよしはる)王位らの22を抜いて単独3位に浮上した。
新星の一挙手一投足がニュースになり、旋風を巻き起こしている。
藤井四段は昨年10月に史上最年少でプロ棋士になった。中学生で棋士になったのは藤井四段を含めて5人しかいない。現在3冠の羽生王位も通算勝率は7割強というから、勝ち続ける大変さが分かるだろう。
5歳の時、祖母に教えてもらったのを機に将棋に引き込まれた。地元の愛知県瀬戸市の将棋教室に通って力をつけ、小学4年でプロを目指す養成機関、奨励会に入った。
将棋の魅力を「考えても考えても答えが分からないところ。深く考えることが楽しい」と語る素顔は初々しい。対局中、膝をたたいて悔しがるような負けん気の強さもある。
「好きなことを見つけ、集中してもらうために何ができるか、いつも考える」(母裕子さん)という周囲の温かな支えも大きかったようだ。好きな道に打ち込ませる子育てが、生来の才能を伸ばしてきた。
藤井将棋の特徴は完成度の高さと終盤の強さにあるといわれる。局面の最善手を見いだす能力にはトップ棋士も驚く。詰め将棋を得意とし、解答を探す速さは群を抜いている。
最強の棋士たちが知力を尽くす将棋や囲碁の世界は近年、コンピューターソフトに翻弄(ほんろう)されてきた。
日本将棋連盟を揺るがしたソフトの不正使用疑惑も、疑いは晴れたものの、ソフトの急速な進化を背景にした出来事だったといえよう。
江戸時代に幕府の保護を受け発展してきた将棋界は、現代の最先端の問題に直面している。
その半面、棋譜をデータベース化して将棋を理論的に勉強する環境は格段に整った。先人のように回り道せず、強くなる道が敷かれている。
デジタル世代の藤井四段らはごく自然にソフトを研究に使い、対局に生かすようになっている。
将棋報道がこれほど盛り上がるのは、21年前に羽生王位が7冠を独占して以来といわれる。タイトル挑戦権も視野に入ってきた。人間の新たな可能性を見せてほしい。