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岩間陽子・評 『移民受入の国際社会学-選別メカニズムの比較分析』=小井土彰宏・編

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 (名古屋大学出版会・5832円)

経済競争がもたらす概念の多層化

 ここ数年、「移民」、「難民」という言葉が、世界政治を動かすキーワードとなっている。本書は、世界における移民・難民問題の現状に関する正確な知識を得るために、非常に有用な研究書である。「選別的移民政策」という概念を切り口に、古典的移民国であるアメリカ、オーストラリア、最近になって受入国に転じたEU諸国、そして、「後発受入国」である日韓の政策が比較されている。

 グローバルな人の動きは、1990年代から徐々に増大してきた。それにはいくつかの要因があった。冷戦の終焉(しゅうえん)により、大きな政治的障壁が取り除かれたこと。世界的な経済自由化により、移動のコストが大幅に下がり、より広範な人が移動することが可能になったこと。携帯電話、GPSなどの技術の普及により、自分の存在位置に関する認識が変化したこと。インターネット、特にSNSの発展に伴い、外の世界に関する…

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