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社説

文在寅大統領と日韓合意 国民への説得を粘り強く

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 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が訪韓した自民党の二階俊博幹事長と会談した。1カ月前の大統領選で当選した後、日本の有力政治家と会ったのは初めてだ。

 文氏は会談の中で、慰安婦問題を巡る一昨年の日韓合意について「韓国の国民が受け入れられないのが現実だ。より多くの時間が必要だ」と語った。

 韓国で合意への反対世論が強いのは事実だ。しかし、これは国家間で結ばれた正式な合意である。政治指導者としては感情論から距離を置き大局的な観点から合意の意義を粘り強く国民に説くべきではないか。

 日韓は、北朝鮮の核・ミサイル開発という安全保障上の脅威を共有している。

 そして対北朝鮮政策の基本である日米韓連携を機能させるためには、適切な日韓関係の維持が欠かせない。その基盤となるのが、この合意だ。だからこそ、日韓両国は着実に履行を進めてきた。

 とりわけ文氏が「当事者である元慰安婦たちが受け入れていない」と述べたことは納得しがたい。

 確かに、元慰安婦支援団体と一部の元慰安婦からの反発は強い。だが実際には、元慰安婦の7割は合意に基づいて設立された財団の事業を受け入れている。

 一方で文氏は大統領就任後、選挙公約としていた「再交渉」という言葉を使わなくなった。この問題を蒸し返せば日韓関係が再び混迷に陥るのは確実なだけに、適切な判断だと考える。

 慰安婦問題は国民感情を刺激しやすい。世論を強く意識せざるをえない点は両国とも同じである。

 日本では、ソウルの大使館と釜山の総領事館の前に建てられた慰安婦問題を象徴する少女像への反発が強い。文氏には、日本側の世論も厳しいことを知ってほしい。

 文氏は、慰安婦問題と切り離し、対北朝鮮政策など他の分野では日本との協力を進めたい考えを示している。日韓首脳が相互に訪問する「シャトル外交」の復活にも意欲を見せる。いずれも歓迎できることだ。

 来月には安倍晋三首相と文氏の初会談が予定されている。首相は、文氏と協力して合意を守っていく姿勢を明確に打ち出すべきだ。

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