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<加計学園めぐる文書>なぜ文科省だけ? 内閣府も調査必要

文部科学省による加計学園に絡む文書などの再調査について記者会見で報道陣の質問を聞く菅義偉官房長官=首相官邸で9日、川田雅浩撮影

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」と言われたなどと記録されたとされる一連の文書について、文科省は文書の存否の再調査をした。一方で、内閣府は同様の文書を作っていたかどうか現時点では調査しない意向だ。公文書管理法は行政の意思決定過程を文書に残すことを義務づけており、文書作成の有無の調査をしない対応は管理法の趣旨に反していると批判が出そうだ。【青島顕】

    「行政の意思決定過程、残すのは義務」

     文書には昨年9月26日付の「内閣府審議官との打合せ概要」と書かれ、内閣府審議官と文科省専門教育課の課長らの氏名が書かれ、内閣府側の要請として「官邸の最高レベルが言っていること」などと記載されている。

     内閣府の山本幸三地方創生担当相は文科省が再調査の意向を表明した9日、「担当者に聞いて、全くそういうことはない、ということを確認している」として、審議官の発言自体を否定した上で、調査の必要はないとの考えを示している。

     公文書管理法は「行政機関の職員は、行政における経緯も含めた意思決定に至る過程を跡付け、検証できるように文書を作成しなければならない」と規定している。

     公文書管理に詳しい右崎(うざき)正博・独協大名誉教授(憲法、情報法)は「国家戦略特区による獣医学部新設に関して文科省と接触し、対応した記録について、内閣府も文書としてきちんと残すべきだ。意思決定に至る過程や事務事業の実績を後から検証できるようにしておくことが必要だからだ。文書がないというのなら、公文書管理法の趣旨に沿った行政運営をするという認識が欠落していると言わざるを得ない。今からでも、交渉担当者がどのような交渉をして、どのような結論を得たのかが跡付けられるように文書を作成して記録すべきだ」と話し、内閣府の対応を厳しく批判している。

    役所同士のやり取り、記録ない例も

     行政機関同士の打ち合わせを記録した行政文書を情報公開請求で取得したところ、一方の役所は文書に残して記録しているのに、もう一方が記録していないことが判明したことがある。

     毎日新聞は特定秘密保護法の成立後、法案が2013年10月に閣議決定される前に省庁間でどう協議されていたかを内閣官房に情報公開請求して調べた。その結果、会計検査院が秘密指定を理由に会計検査が拒まれることが想定されるとして、会計検査はすべての文書を対象とする憲法の規定上、秘密保護法案には問題があると指摘していたことが判明した。検査院は法案の条文の修正を内閣官房側に求めていた。

     そこで検査院に対し、内閣官房とのやりとりを記録した文書を情報公開請求した。検査院は内閣官房が開示した文書に加えて「電話交渉録」などを開示した。電話交渉録には、検査院の条文修正要求に内閣官房が難色を示し、交渉が一時平行線に陥った様子が細かく記録されていた。

     結局、内閣官房は条文を修正せずに法案を成立させた。内閣官房はその代わりに、関係省庁に対して、法律の成立後も会計検査に応じるよう通知すると約束した。ところが内閣官房は法施行後の15年、通知を16年まで先延ばしすると検査院に通告した。

     検査院は通知延期の経緯を記録していたが、内閣官房に文書はなく、取材に対して「作成していない可能性がある」と認めた。専門家は「公文書管理法の趣旨を逸脱した対応だ」と内閣官房を批判した。

    専門家「公開可能な行政文書に該当」

     文科省に対しては、信頼性のある調査の上で、報道で指摘されている文書を政府が公開するように求める声が上がっている。

     松野博一文科相が再調査を表明した9日、NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長が声明を出した。声明によると、報道や国会質疑で明らかになった文科省のメールや文書について「メールは十数人に送信されており、組織的に用いられた状態にある。文書は前川喜平前事務次官ら幹部職員に示され、内容が共有されており組織的に用いられている状態にある」と指摘し、公文書管理法や情報公開法が「行政文書」の要件としている(1)職務上作成(2)組織的に用いられている--ことを満たすとしている。

     三木氏はまた、情報公開法が「公益上特に必要な場合は開示できる」と規定していることを根拠に「公開可能な行政文書である」とした。さらに政府が政治的介入を否定していることについて、三木氏は「文科省も官邸も当事者であり、当事者の調査を信頼することはできない」として「中立的・第三者的な調査を通じて真偽が問われるべきだ」「特定の職員に不利益が及ばないような調査を実施すべきだ」と主張している。


     <「加計学園」文書を巡る政府の説明の変遷>

    5月17日 菅義偉官房長官「作成の日時や部局が明確になっていない。怪文書みたいな文書。出所も明確になっていない」

      19日 松野博一文部科学相「存在は確認できなかった」

      25日 菅官房長官「文科省で調査し、確認できなかった。それ以上でも以下でもない」

      26日 松野文科相「再調査する意向はない」

    6月 8日 菅官房長官「文科省で検討した結果、存否や内容の確認の調査を行う必要はないと判断した」「出所、入手経路が不明で、信ぴょう性がよく分からない文書であることに変わりはない」

       9日 松野文科相「(再調査することを公表)国民の声が多く寄せられ、総合的に判断した」

      12日 菅官房長官「あくまで文書の存否に関する追加調査であって、文科省で対応する」(第三者を入れないのかと問われ)

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