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天下り違反の疑い27件 省庁名も公表しないとは

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 文部科学省の組織的な天下りあっせん問題を受けて、内閣人事局が全府省庁の実態調査結果を公表した。

 国家公務員法に基づく、再就職規制違反の疑いは12省庁で計27件あった。このうち文科省と同様、職員による再就職のあっせんが疑われるケースが12省庁で18件あった。組織的関与は「確認できなかった」とした。

 同法は、現職職員が再就職を仲介あっせんすることを禁止している。

 文科省は組織ぐるみで天下りに関与した。他省庁でも同様のケースがあるのではないかと指摘されていた。規制が守られず、形骸化していることを疑わせる内容だ。

 調査結果で疑問なのは、政府が違反の疑い事例の具体的な中身を公表しなかったことだ。法令違反に当たるかどうか、再就職等監視委員会の最終認定を待つことを理由に、省庁名すら公表しなかった。

 だが「疑いあり」とした以上、最低限、省庁名は公表すべきだ。あっせんがどのように進められたのかも説明する必要がある。

 文科省の天下り問題を巡っては、前川喜平前文科事務次官が引責辞任した。前川氏について、菅義偉官房長官は「地位に恋々としがみついた」などとまで公言し、批判した。前川氏はこれを否定している。

 綱紀粛正をしきりとアピールした文科省のケースに比べると、政府の今回の対応は、甘いと見られても仕方がないのではないか。

 調査に強制力はなく、調べられなかった人も800人以上いるという。さらに「再就職に広くOBが関与している」とも認めている。組織的関与について、政府が早々に結論付けたことに疑問が残る。

 この件について、内閣人事局は、1月末から調査を始めた。当初は3月末に結果をまとめることを目指していた。

 結果的に3カ月近く遅れた理由を同局は「作業量が膨大になった」と説明している。

 だが、加計問題で政府への批判が強まる中、国会の閉会日直前に公表したのは不自然だ。

 今後は、監視委の調査に焦点は移る。結論がいつまとまるかははっきりしていない。できるだけ早く結果を公表する必要がある。うやむやに終わらせてはならない。

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