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「不審な船」、通報を 密輸や工作船のケースも

門司税関に押収された大量の金塊(一部は鑑定中)=北九州市門司区で2017年6月2日、野田武撮影

 佐賀県唐津市の漁港に金塊とみられる積み荷約206キロを密輸したとして、第7管区海上保安本部(北九州市)などが関税法違反(無許可輸入)容疑で日本人と中国人の8人を1日に逮捕した。首謀者と思われる男も6日に逮捕している。この事件では「海上で金塊取引が行われる」という情報をもとに捜査員を派遣していた。海上保安官は幹部から現場まで「捜査の成否は情報」と口をそろえる。海上保安庁は「見慣れない船や不自然な船の情報を118番か最寄りの海上保安部へ寄せてほしい」と呼びかけている。【米田堅持】

漁具なし 船籍登録抹消の船

 海保によると、地域性や船による個々の事情があるので、一概に「怪しい船」の定義は難しいという。しかし、今回の唐津の事件では、金塊とみられる積み荷を積んだイカ釣り漁船「第36旭丸」は、青森県の船籍で漁具を積んでおらず、漁船登録も抹消されたまま九州で活動を続けるなど不審な点があった。

 7管によると、情報がどこに寄せられたかも含めて、具体的なことは明かせないとしている。ただ「巡視船艇で常に警戒し情報収集に努めているが、海は広く海保だけでは限度がある。一般の人からの広く情報が寄せられることは大事だ」という。九州では2001年に、鹿児島県・奄美大島沖で漁船に偽装した北朝鮮の工作船を発見して追跡したのち、自爆とみられる爆発で沈没した事件があった。漁具を積んでいないなど唐津の事件と似た不自然な点があり、当初から「不審な船」だったという。

各機関が密に連携 垣根は低く

 情報と並んで大事なのが捜査機関同士の連携だ。密輸であれば、海上は海保、陸上は警察、密輸された物は税関と担当領域があり、密航の場合であれば入国管理局も加わる。唐津の事件では、組織的な密輸事件で青森などいくつもの地域にまたがっていたこともあり、関係機関が多岐にわたった。

 海保は7管の他に第2管区海上保安本部(塩釜市)と国際組織犯罪対策基地の3部署、警察は佐賀県警の他に長崎、福岡、青森、警視庁、税関も門司の他に長崎、東京、函館が関与した。当初逮捕された8人のうち、船に乗っていた5人は唐津海上保安部、陸上で待っていた3人が唐津署によって逮捕され、その後、6日には首謀者と見られる男が警視庁に出頭して逮捕された。以前は各機関の「縄張り争い」の話も聞かれたが、最近は垣根が低くなっているという。

後を絶たない「瀬取り」

 海保の現場では、見慣れない船でも「怪しい」という先入観を持たずに立ち入り検査をして、法令違反の有無を慎重に調べるという。ただ、密航・密輸とも隠し場所は常に変化しており、密航者や密輸品を見逃さないよう探すのは苦労する。かつては二重になった船底に隠し部屋を作り、潜んでいた100人以上の密航者を摘発したケースもあった。

 また、人目につきにくい沖合で船同士で人や物を受け渡す「瀬取り」と呼ばれる手法による密航や密輸は後を絶たない。海保は「『怪しい』と思う船や、密航や密輸などの話を耳にしたら、詳細がわからなくても遠慮なく118番への通報や、最寄りの海上保安部へ連絡してほしい。寄せられた情報を精査し、漁業関係者や海事関係者と連携しながら、密航や密輸の摘発につなげていきたい」と話している。

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