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荒川洋治・評 『まっぷたつの子爵』=カルヴィーノ著

 (岩波文庫・562円)

 イタリアの文豪イータロ・カルヴィーノ(一九二三-一九八五)の小説は『くもの巣の小道』『むずかしい愛』『不在の騎士』『見えない都市』などが各社の文庫・新書で出ているが『まっぷたつの子爵』(一九五二)の文庫は初めて。明快で、強烈。楽しみの多い作品である。

 時は、一八世紀初め。トルコとの戦争で、砲弾を浴び、体を左右まっぷたつにされてしまったメダルド子爵の物語である。

 「残る半身は何もなかった」。片側だけとなった子爵は、城のある在所に帰還するのだが、彼が歩いたあとを見ると、梨の実は半分しかない。石の上の蛙(かえる)も半分、きのこも半分しかなかった。子爵が切り落としたのだ。「こういうぐあいに、ばらまかれた足跡」。それが子爵が通ったしるしなのだ。そんな叔父・メダルド子爵の姿を少年の「ぼく」が語る。

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