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磯田道史・評 『戦争の日本古代史』=倉本一宏・著

 (講談社現代新書・950円)

 朝鮮半島が再び緊張している。戦争の予防には戦争の直視が要るが、日本人はこれがあまり得意ではない。戦争といえば、戦前の総員賛成、戦後の反対・思考停止と、二者択一の反応である。戦争・外交は相手があり打つ手筋があるから、選択の連鎖という点で、囲碁将棋に似ている。囲碁将棋には、棋譜の蓄積を教訓にした定石(跡)がある。良い棋士が定石を知り、長く手を読んで、誤りに陥らないように、国家の歴史にも、陥りやすい失敗のパターン、得やすい成功のパターンがあり、我々はこれを知らねばならぬ。とくに、日本は過去に、朝鮮半島への対処で、エリートも民衆も運命を変えられ、地獄もみてきた。政治外交の手筋は、できるだけ広く深く読んだほうがよい。しかし、戦後日本では「戦争の日本史」はあまり書かれていない。この国がおこなった対外戦争が、古代までさかのぼって検証され、そこで得られた教訓が一般の知恵となって、国民の眼前に示される必要がある。

 本書は、まさに、それにこたえた一書である。「近代のことを考える際には、近代や近世のことだけを考えたのでは不十分であり、古代以来の蓄積を考える必要がある」と著者はいう。北東アジアの平和には、古代以来の冷静な戦争分析こそ必要である。なんとなれば、日本とその隣国は、おそろしく古い時代に国家形成をはじめた老舗国家群だからである。7世紀、中国・朝鮮半島・日本列島には唐・高句麗(こうくり)・百済(ひゃくさい…

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