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VXの女たち・正男暗殺

北朝鮮の金正男(キムジョンナム、当時45歳)が2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で猛毒の神経剤VXを使って殺害された事件では、インドネシア人のシティ・アイシャ(25)とベトナム人のドアン・ティ・フオン(29)が実行役として起訴された。「いたずらビデオの撮影だと思っていた」と供述し、「工作員」のイメージからはほど遠い女たち。なぜ、どのようにして謎の多いこの「暗殺」事件に関わるようになったのか。素顔と足跡を追った。

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/9 結婚生活あっけなく

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シティ・アイシャが9年ほど前、新婚当初住んでいた住居兼工場。ジャカルタの貧困地区にあり、現在は当時から所有者が変わっている=3月、平野光芳撮影
シティ・アイシャが9年ほど前、新婚当初住んでいた住居兼工場。ジャカルタの貧困地区にあり、現在は当時から所有者が変わっている=3月、平野光芳撮影

 狭い路地が迷路のように入り組むインドネシアの首都ジャカルタの貧困地区。シティ・アイシャ(25)は9年ほど前、この一角に暮らしていた。

 住んでいた建物を探し当てた。手すりのないベニヤ板張りの階段を上ると、20畳ほどの雑然とした部屋が広がる。縫製用ミシンが並び、布の切れ端が床に無造作に散らかる。窓は小さく、扇風機が回っていてもうだるような暑さだ。

 アイシャは2007年、15歳のとき、中華系インドネシア人のリアン・キオン(55)が当時、経営していたこの縫製工場で働き始めた。すぐにリアンの息子と恋仲になり、08年に結婚し、長男(7)を出産。工場の一角を仕切り、家族3人で住んだ。

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